守護の仕事は頼朝公が決められたとおり、大番催促(おおばんさいそく)と、謀反人(むほんにん)と、殺人犯の取りしまりである。さらに、夜討ち(ようち)、強盗、山賊(さんぞく)、海賊(かいぞく)の取り締(し)まりである。近ごろ守護の中に代官(だいかん)を村々に送り、勝手に村人を使ったり税を集めるものや、国司(こくし)でもないのに地方を支配し、地頭でもないのに税をとったりする者がいる。それらは全て違法の行いであるから禁止する。
また、引退し子供に家督(かとく)を譲った御家人は、すでに御家人ではないのだから、勝手に村人を使うことはできない。荘官(しょうかん)の中には御家人といつわって、国司や領家(りょうけ)の命令に従わない者がいる。このような者はたとえ望んでも守護の諸役(しょやく)を任命してはならない。頼朝公の決めたときのように守護の仕事は大番役(おおばんやく)を決めることと、謀反人や殺人事件の調査や犯罪者の逮捕であり、それ以外のことをしてはならない。この取り決めにそむき自分勝手な振る舞いをしたら、国司や領家、あるいは地頭や庶民の訴え(うったえ)により、その非法が明らかになりしだいに辞めさせて、別の人を守護に任命する。また、守護の代官は一人しか決めてはならない。
※大番催促=朝廷を警護することを御家人に命ずること ※謀反人=朝廷や幕府にそむくもの ※代官=ここでは守護の代理の役人 ※家督=家の長が管理していた財産や、地位 荘官=領家や本家の命を受けて荘園を管理するという役だが実際の持ち主 ※領家=荘園の名目上の持ち主・更にその上に「本家」がある」どちらも名目上の持ち主 ※しょやく=とは警察の仕事、地頭のまとめ役など
第4条:「守護が勝手に罪人から所領(しょりょう)を没収(ぼっしゅう)することの禁止」
重い犯罪者の場合は特にていねいに取り調べた上で、その結果を幕府に報告し、幕府の指示に従わなくてはならない。このことを行わずに守護が勝手に罪人から没収した財産を自分のものにすることは許されず、これに従わない者は解任(かいにん=やめさせる)する。また、重罪人であってもその妻子の住む屋敷や家具を没収してはならない。共犯者の場合、没収すべき財産が無ければ財産に関しては不問にする。
※重い犯罪者=謀反人(むほんにん=天皇や将軍に敵対した者)や殺人犯など ※所領=領地のこと ※没収=とりあげること
※鎌倉時代の刑罰のうち武士には「死刑」「流刑」「追放刑」「禁固刑」「経済刑」「停止刑」、庶民には「指切り」「火印捺」「片鬢剃」などがありました。この条文では犯罪者に対する「経済刑」としての財産没収を守護が私的に運用することを禁止しています。
第5条:「諸国の地頭が集めた年貢を本所(ほんじょ)に納めないことについて」
集めた年貢を本所に渡さない地頭は、本所の要求があればすぐそれに従わなくてはならない。不足分はすぐに補(おぎな)うこと。不足分が多く、返しきれない場合は3年のうちに本所に返すこと。これに従わない場合は地頭を解任(かいにん)する。※本所=荘園の持ち主(名目上が多かった) ※解任=やめさせること
第6条:「国司や領家の裁判には幕府が介入(かいにゅう)をしないこと」
国衙や荘園の本所あるいは神社や寺が起こす裁判に幕府は介入しない。本所の推薦状(すいせんじょう)がなければ荘園や寺社の訴えは幕府ではとりあげない。」