先月23日、会員制倉庫型小売店「コストコ」ソウル上鳳店(中浪区)で、Y容疑者(32)が12万3000ウォン(約1万1000円)相当の衣服を盗み、中浪警察署に立件された。Y容疑者は前科のない平凡な主婦だった。その数日前、同じ店で5万2000ウォン(約4800円)相当のリュックサックを背負って出ようとして捕まった主婦O容疑者(58)も、警察の世話になるのは初めてだった。容疑者らは警察の調べに対し「盗むつもりはなかったが、誰も見ていないと思った瞬間、欲に駆られた」と言ってうなだれた。
コストコで発生する窃盗事件の件数が、近くのほかの大型店に比べ最大で14倍も多いことが、9日までに分かった。警察によると、今年に入り、4月までにコストコ上鳳店では59件の窃盗事件が発生、近くのEマート上鳳店の4件に比べ14倍に達した。また、コストコ良才店でも同じ期間に15件の窃盗事件が発生した。これも近くのEマート良才店(3件)の5倍だ。中浪警察署のある警察官は「コストコ上鳳店では、2日に1回は窃盗事件が発生している感じだ。犯罪の発生件数は環境によって大きく変わる」と話した。
コストコとほかの大型店を比べると、監視カメラが見当たらず、またレジの前に防犯ゲートが設置されていないなど、人々が「監視が不十分だ」と感じる要因が多い。永登浦警察署の関係者は「窃盗事件の被疑者の大部分は主婦で『監視されていないと思い、出来心で盗んでしまった』と供述している。品物を盗みやすい環境だといううわさが広がり、この点に目を付け、遠くから来る人もいる」と話した。
また、会員制のコストコは、3万ウォン(約2750円)から3万5000ウォン(約3200円)の年会費を支払った会員だけが売り場に入ることができる。そのため、コストコで発生する窃盗事件は、生活に困って犯行に及ぶ「生計型」とは見なせないというのが専門家たちの見解だ。一定額の年会費を支払えるだけの能力を持つ人たちが、監視が不十分なため、欲に駆られて品物を盗んでしまうというわけだ。たとえ安い品物でも、監視が不十分だと思うと、盗もうという誘惑に駆られるというのは、それだけ市民意識が成熟していないことを示すものだ、と指摘する声も出ている。
京畿大学犯罪心理学科のイ・スジョン教授は「同じ地域にある店で、環境によって窃盗事件の件数にこれほど差が生じるのは、社会的な規範や規律が市民の間に十分に内在していないことを示す、苦々しい現象だ」と話した。
李美智(イ・ミジ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版