国宝・常楽寺本堂
さて、茅葺屋根、木の板屋根を紹介したので、次は「木の皮の屋根」である。
木の皮の屋根は、ほとんどが檜の皮を使う「檜皮葺(hiwada葺き)で、
他に杉の皮で葺く「杉皮葺」が存在する。
杉皮葺は一部の古民家や数寄屋で使われる程度で例が非常に少ない。
よって、ここではhiwada葺きを中心に書くことにする。

国宝・清水寺本堂
檜皮葺(hiwada葺き)とは、文字通り「檜の皮」で葺いた屋根である。
668年、崇福寺の建物に葺かれたのが始まりとされ、現在の技法が確立されたのは
平安時代末期頃とされる。
また、その時には、hiwada葺きは日本で最も格式が高い屋根となり、
貴族の建物や神社仏閣の中心建物に使用されるようになった。

16世紀、上杉本に描かれたhiwada葺きの「花の御所」。
hiwada葺きは格式が高い屋根だった。
これが檜の皮を束にしたもの。
(写真は湖東三山の百済寺)

これを1.2cmずらしながら重ねて葺いていく。
そして竹釘で固定する。

hiwada葺きの模型
ところで、これはhiwada葺きではない。
これは木の皮ではなく、木の板を重ねた屋根であり、こけら葺(kokera葺き)という。
hiwada葺きとkokera葺きは、全く種類が異なる。

kokera葺きの「細川殿」
(細川殿のkokera葺きには縞模様が見えるので、これは同時代の厳島・大元神社の
大元葺のようなものだろうか)

石を置いた屋根は「木の板」の屋根で、木の皮ではない。
木の板の材は耐水性の強い杉、栗、サワラなどが使用された。
それでは、hiwada葺きを数例挙げておく。
若狭・中山寺本堂、14世紀後半の建造で重要文化財
この建物は方5間の建物だが、住職さんの話では、屋根の葺き替えは
1億円を軽く突破したという。
また、葺き替え直前に国宝の室生寺五重塔の屋根が破損し、確保していた檜皮が
室生寺に回され、新たな檜皮の確保に時間がかかったという。
「それだけ良質の檜皮が不足しているんだよ」と言われてましたね。
若狭・神宮寺本堂、1553年の建造で重要文化財
hiwada葺きは当然植物原料であり、自然とよく調和する。
重量は本瓦の3分の1程度で軽く、耐久年数は30年から40年である。

自分が最も好きな建物、三井寺金堂。
hiwada葺きの代表的な建物である。

日本の王宮、京都御所の正殿にもhiwada葺きが使われる。
hiwada葺きの格式の高さが理解できるだろう。
国宝・北野天満宮本殿
神社の主要建物にも、hiwada葺きは多く用いられる。逆に瓦葺はほとんど使用されない。
これは、瓦屋根が大陸由来なので、日本固有の神社に使用するのが適切ではないと
考えられたからである。
終わり