昨日の午前中は仕事の原稿を書いていたのですが、ふと「貧乏人の節句働き」という言葉が過ぎり、午後からは五島美術館に行きました。

ここの美術館の特徴は、年に一度、連休の時だけ国宝の源氏物語絵巻を公開することです。逆に言うと、連休以外は見所半減です。
源氏物語絵巻だけあって、来ている人の大半はおばあちゃんです。残りは、おばあちゃんに連れられたおじいちゃんか、娘さん。
また東急電鉄総帥の五島慶太創設の美術館だけあって、連れられたおじいちゃんの半数は「強盗慶太」という言葉を口にします。よほど腹に据えかねる事情がおありなのでしょう。それともライバル西武鉄道の関係者でしょうか。
源氏物語絵巻のうち鈴虫が2点、夕霧、御法が展示してあります。鈴虫のうちのひとつは二千円札にも描かれているのですが、今では二千円札自体を見かけません。

夕霧の見所はなんといっても、この女性の嫉妬の表情です。

夫を早く亡くした落葉宮の母からの手紙を夕霧(左の人物)が読んでいるのですが、これを未亡人である落葉宮からの恋文と誤解した雲居雁(夕霧の妻:真ん中の女性)が後ろから奪おうとしているのです。うれしそうに読む夕霧と、怨嗟の表情に満ちた雲居雁に注目です。右の女官二人はおしゃべりしている場合か?
そして展示のクライマックスはなんといっても御法(みのり)です。光源氏最愛の妻で、かつ物語中で最も美しいという紫の上の最期が描かれています。

元素分析を元に復元させた絵だとさらに色も鮮やかです。

病が進んでやつれてもなおも高貴で美しく
亡くなった後の亡骸すら美しかったという
そんな女性の最期に胸を打たれます。
これは良いものを見た、そんな気分になりました。見に行くのは今年で三年連続なのですが、前の年の事なんてきれいさっぱり忘れて楽しめます。私は源氏物語なんて、高校時代に漫画の「あさきゆめみし」でしか読んだことが無かったのです…