
先端テクノロジーに関する展示会「ZIGZAG伝統革新 未来を走るイタリア展」が、日本科学未来館で10月17日まで開催された。
イタリアの航空宇宙産業を紹介。イタリアには、公的な宇宙機関としてASI(Agenzia Spaziale Italiana:イタリア宇宙機関)が存在する。
設立は1988年で、現在は17カ国が参加するESA(European Space Agency:欧州宇宙機関)にも当然加わっており、拠出額では第3位と、ヨーロッパの宇宙開発や探査を牽引する機関だ。
NASAや日本のJAXAとも協力関係にある。なお、今回紹介するロケットや着陸機などは、ESA内に公式サイトが用意されており、そこにミッションをイメージしたCGやムービーなども用意されているので、興味がある方は見てみよう。どの機体の公式サイトでも、左側のメニュー内に「ギャラリー」という項目があるので、それを選べば見られるはずだ。
宇宙産業エリアで目立つのは、直立しているロケット「ベガ」の1/15スケールモデルだろう。
ESAが2010年の初打ち上げを予定して開発を進めている無人(人工衛星用)ロケットだ。小型衛星を安価で打ち上げることを目的としており、高さ30m、直径3m、発射時の重量は137tというスペックで、地上700kmの軌道上まで1.5tの重量物を運ぶことが可能だ。
ちなみにベガは日本のH-IIBと比べると小型で、中型の部類に入る。参考までにH-IIBのスペックを記すと、全長56.6m、第1段ロケットの外径で5.2m、重量が531t、打ち上げ能力はHTV軌道(約350~460km)で約16.5t、静止トランスファ軌道(約3万6,000km)で約8tとなっている。
ベガの開発費は3億3,500万ユーロで、その内の65%をELV社(ASIが30%、イタリアに本拠を置く重工業の大手アーヴィオ社が70%出資して設立)が担当している(残りはESAやASIなど)。エンジンの開発は、アーヴィオが行なっており、ESAのロケットとはいえ、かなりイタリア色の強い形だ。ちなみにベガの名は、七夕の織り姫星として知られること座のα星から取られている。

ベガの1/15スケールモデル。中型ロケットである

ベガのイメージ。公式サイトでもこうした画像を見られる
さらに、ESAが2004年に打ち上げ、2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の本体に接近を予定している3t級の彗星探査機「ロゼッタ」が搭載している着陸機「フィラエ」の1/2スケールモデルも展示されていた。開発には欧米14カ国の50の企業が参画し、独アストリウム社の主導のもとで行なわれた。フィラエに装備されているサンプル最終システムのドリルは、ロボットの開発も行なっているセレックス ガリレオ社が開発を担当している。ドリルは、ロボットアームの一種で、これで彗星の表面に穴を開けてサンプルを採集するという仕組みだ。ちなみに、ロゼッタとは石碑ロゼッタ・ストーンから、フィラエは石碑フィラエ・オベリスクから名付けられた。古代エジプトのミステリーを解き明かすことに貢献した両石碑の如く、彗星の謎を解き明かすという願いが込められているようである。

着陸機「フィラエ」。
全面左側の縦に伸びた白い装置がドリルを収納している。
模型では下にドリルの姿も

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星本体の上空を飛ぶ「ロゼッタ」と、着陸しているフィラエのイメージ
また、ESAが2011年に打ち上げ、2013年到着予定の火星探査計画「エクソマーズ」計画で使用する車両型ロボット探査機ローバーの1/2.5スケールモデルも展示された。仏タレス・アレーニア・スペース社は計画の最初の契約企業で、イタリアは計器類中の4個を担当し、同ミッションのリーダー的な存在となっている。
なお、公式サイトにあるローバーの画像や動画を見る限り、もっとディズニー・ピクサー映画の「WALL・E」に近いロボットらしい雰囲気だが(どうしてもローバーは頭部を持つとWALL・Eのイメージに近くなってしまうらしい)、今回の展示模型はあまりロボットっぽくないデザインとなっている。また、エクソマーズ計画用の展示では、火星の大気圏突入時に安定性を高めるのと減速を行なうために使用される、アエロ・セクル社製パラシュートの1/10モデルも展示。実際には直径11mと25mの2つのパラシュートで構成される予定だ。
なお、エクソマーズ計画は、ESAが2030年を目標に進めている有人火星探査計画「オーロラ」の一部でもある。

ローバー。イメージ図と結構違う感じだが、ここからカメラなどを展開するのかもしれない

着陸カプセル。ローバーはこれに搭載されて大気圏に突入する

エクソマーズ計画で使用されるパラシュート。
火星は地球と比べて大気圧がだいぶ低いがちゃんと機能する
http://robot.watch.impress.co.jp/docs/news/20091021_323304.html