特アは雪風を狙う。
雪風は自己能力を最大限に発揮して特アに対抗する。
しかし彼には、その特アと雪風の戦闘が感じられなかった。
だが特アはたしかにいた。
雪風が彼に警告する、<特アはそこにいる>と。
-第Ⅲ章 不可知戦域冒頭より-

(前文略)
現在航空JASDF最強の戦闘機は、イーグルと呼ばれる双発の大型戦術戦闘機である。
高度な電子兵装を有し、改良を重ねられたエンジンは日本の空に合った高性能なものである。
このイーグルは高価であり、数はさほど多くない。その数少ないイーグルのうち、一三機が戦術偵察に改造されている。
この一三機はプロトタイプよりさらに高度な電子頭脳を搭載している。このイーグルはスーパーイーグルと呼ばれることもあり、他のイーグルと姿こそ似ているものの、まったくの別物といってよい。
それはまさしく大出力エンジンと翼を有する空とぶコンピュータである。
この一三機のスーパーイーグルはJASDF・特殊戦第五飛行隊に配属される。
公表されているJASDFの軍団・師団・部隊の構成図を見ると、特殊戦第五飛行隊は航空自衛隊・百里基地所属の一戦術戦闘航空師団にすぎない。
実際には、しかし、独立した軍団レベルの存在である。
現在、単に<特殊戦>といえば、この特殊戦第五飛行隊を指す。
制式の部隊番号はSAF-Vだが、公式文書以外ではVはつけないことが多い。
JASDF内ではSAFで通る。
JASDF創立当時、この<特殊戦>はさほど重要な存在ではなかった。
それが現在JASDFの陰の参謀といわれるまでになったのは、より高度で正確な戦術戦闘情報が必要になってきているからだ。
最前線であらゆる電子情報を収集することを主任務とする<特殊戦>に最強のスーパーイーグルが与えられたのは偶然ではなく、真に必要だったからである。
現在の対特ア戦には、高速演算能力のあるコンピュータが不可欠だ。
コンピュータなくして特アとは戦えない。
スーパーイーグルに搭載されるセントラル・コンピュータは防衛省庁舎の地下深く守られたJASDF中枢戦略コンピュータの一部といってもよい。
<特殊戦>はJASDF戦闘部隊中、最もコンピュータ化の進んだ戦隊である。
この特殊戦隊に下された至上命令は、必ず還れ、である。
スーパーイーグルは最前線で貪欲に情報を収集し、セントラル情報ファイルに記憶して帰投する。
撹乱されやすい無線通信回線は非常時以外は使用しない。
所属する一三機のスーパーイーグルが全機そろって発進することはめったにない。
いつも一機、あるいはせいぜい二機で、他の戦隊機の後ろについていく。
そして、たとえその味方の戦隊機が全滅しようとも、それを援護することなく、戦闘情報を収集して帰るのだ。
スーパーイーグルはその任務をこなすために、哨戒機にも劣らぬ警戒レーダーを持ち、外部燃料タンクを抱き、自機と情報ファイルを守るための(ただそれだけが目的の)強力な火器を有する。
(以下略)
コンピータはこう言っているようだった。
「性能の悪い人間は必要ない。この戦闘は特アとわれわれの戦いなのだ」
-第Ⅴ章 日本・冬より-
五年後にはこの妄想でホルホルしているはずだったのにw
偵察機転用計画はどうなるんでしょうねぇw