空自FX候補2機種 米英が相次ぎPR 価格などの利点強調


英タイフーン㊤と米スーパーホ―ネット
空自の次期主力戦闘機(FX)の選定を前に、調査対象機種となっている「ユーロファイター・タイフーン」の開発主体である英防衛産業BAEシステムズと、「FA18E/Fスーパーホーネット」の米ボーイング社が2月2日、それぞれ都内で記者説明会を開き、両機のメリットをアピールした。
千代田区の英国大使館で開かれた「ユーロファイター」の説明会には、デイビッド・ウォレン駐日英大使が自らトップセールスに立ち、「英国政府はユーロファイターの開発パートナー4カ国(英独伊西)を代表して日本に同機の採用を働きかけるキャンペーンを主導している」とした上で、「ユーロファイターは米軍との定期的な合同演習で完全な相互運用性が実証されている」と強調。
続いて同キャンペーンの総指揮を務めるBAEシステムズのナイジェル・ホワイトヘッド氏が、同機はオーストリアとサウジアラビアを加えた計6カ国空軍に実戦配備され、信頼と実績のある機体であることを強調。①米、NATO軍との相互運用性を持ったマルチロール機②空対空、空対地のいずれもカバーできる高性能性、離陸発進から140秒で高度4万フィート、マッハ1・6に至る上昇性能、超音速巡航、高高度飛行能力、敏捷性③価格面での優れた費用対効果、量産実績に基づく低コスト性④ライセンス生産を通じた日本の防衛産業維持基盤の発展、すべてのソースコードの開示と共有、ブラックボックスのない技術移転――などのメリットを挙げ、「提案要求書(RFP)が出されれば、直ちに確実な実績ある数値を提示することが可能」と述べた。
これに先立ち、ボーイング・ジャパンは丸の内の本社で「スーパーホーネット」の説明記者会見を開き、同機の採用を促進するためのFXチームを発足させたことを発表した。
同社の防衛・宇宙・安全保障部門ビジネス・デベロップメント日本担当副プレジデントのジェームス・アーミントン氏のあいさつに続いて、同部門国際ビジネス・デベロップメント・アジア太平洋地域担当副プレジデントのジョセフ・ソン氏と、日本FX担当ディレクターのフィリップ・ミルズ氏が説明を行い、①適正価格のマルチロール機②ライセンス生産と日本国内での保守が可能③米軍との相互運用性④米海軍での導入実績――などを挙げ、性能を強化した進化型の将来オプションモデルを示しながら、「スーパーホーネットこそ実戦経験があり、適正価格で導入可能な、FXに最適な戦闘機」と訴えた。
また、日本への導入時期や価格が不透明な開発途上の米ロッキード・マーチン社のF35ライトニングⅡと比較して、開発・納入スケジュールが明確で価格も適正としてスーパーホーネット導入の利点を強調した。
空自はF4EJ改戦闘機を減耗・予備、術科教育用などを含め計約70機保有しているが、導入から約40年を経て老朽化、平成20年から本格的な減勢に入っており、後継機FXの選定は喫緊の課題となっている。
調査対象機種は①米F22Aラプター②米F35ライトニングⅡ③米F15FXイーグル④米FA18E/Fスーパーホーネット⑤ユーロファイター・タイフーン⑥仏ラファールの6機種。このうち、最新鋭ステルス戦闘機F22Aは軍事機密性が高いとして米議会が禁輸措置(オビー条項)をとっているため情報が開示されていない。F35は米英など9カ国が開発中の第5世代の戦闘機で、ステルス性はあるが超音速巡航能力はなく、運用試験までまだ数年を要するとみられている。
昨年末策定の新中期防(23年~27年度)は「新戦闘機」として12機のFX整備を盛り込んでおり、防衛省は1月7日、FXを選定する「次期戦闘機IPT」を設置、今年末にかけて機種を決定することにしている。
◇ユーロファイター・タイフーン(ユーロファイター社、英BAEシステムズ社。英独伊西共同開発)▽用途=戦闘機(マルチロール機)▽乗員1または2名、全長約16m、全高約5m、翼幅約10m、翼面積約50平方m、最高速度マッハ2、航続距離1389km、コスト約100億円(推定)。
◇FA18E/Fスーパーホーネット(米ボーイング社)▽用途=制空多用途戦闘機(マルチロール機)▽乗員1または2名、全長約18m、全高約5m、全幅約13m、翼面積約46平方m、最高速度マッハ1・8、航続距離3700km、コスト約60億円(推定)。