【主張】
「国防軍」 平和と安全守るに必要だ 民
主党は見解を明確にせよ
2012.11.27 03:19 [主張]国の守りを憲法上、どう位置付けるべきか。この本質的な議論を深める契機にすべきだ。
自民党が政権公約で「国防軍」保持を盛り込んだ憲法改正を掲げたことに対し、民主党などが批判していることへの注文である。
問題は、独立国として国家や国民を守るために必要な強い軍隊を保持するという当然のことが戦後、疎(おろそ)かにされてきた点だ。
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とする憲法9条が、いかに現実から遊離しているか。国際的には軍隊と認められながら国内的には軍隊と認めていない自衛隊とは一体、何なのか。
≪「脅し戦術」は残念だ≫
こうした疑問に対し、各党は見解を示してもらいたい。
今回の論争は、野田佳彦首相が「自衛隊を国防軍と名前を変えて中身が変わるのか」などと指摘し、自民党の安倍晋三総裁が「自衛隊は軍隊でないと詭弁(きべん)を弄するのはやめるべきだ」と反論したことで始まった。
残念なのは、野田首相が「国防軍」に触れ、「大陸間弾道ミサイルを飛ばすような組織にするんですか」などと批判し、軍拡や戦争につながるかのような印象を与えていることだ。有権者を脅かして恐怖心を植え付ける選挙戦術といえなくはないが、議論のすり替えといわざるをえない。
民主党の細野豪志政調会長が「自民党の中に、普通の国になって戦争もできるようにするんだという声はある」と主張していることもその一例である。
「自民党が連立を組みたい公明党も理解していないのではないか」という首相の発言には、国防軍や憲法改正に消極的な公明党と自民党との分断を狙う意味合いもあるのだろう。
自民党は、谷垣禎一前総裁時代の4月に憲法改正草案をまとめ、その中で国防軍の保持を明記している。安倍氏が国防軍を打ち出した前提は、憲法改正であることを忘れてはなるまい。
そもそも、野田首相は「私は新憲法制定論者」と自著で語っていたではないか。「強い日本」を掲げる安倍氏に、「タカ派」のレッテルを貼る戦術なら情けない。
安倍氏は国防軍とする理由について、「日本の中では自衛隊は軍隊ではないと答弁している。憲法9条の1項、2項を読めば軍を持てない印象を持つ」と述べた。
一方、武力紛争時の傷病者や捕虜などの保護を定めているジュネーブ条約を挙げて、「政府は(自衛隊が)軍隊としてジュネーブ条約上は認識されているものと思うと答弁する」とし、国際的には軍隊だと認めていると指摘した。
「もし捕虜になったときに、ジュネーブ条約上、軍であればちゃんと待遇される。そうでなければただの殺人者だ」と説明し、「こんな詭弁を弄するのはやめるべきだ」と強調した。
≪集団的自衛権の先行を≫
軍隊がなぜ必要か。日本固有の領土である尖閣諸島の沖で、領海侵犯を繰り返す中国公船が、海上保安庁の巡視船を排除する行動をとる場合を想定してみよう。
領海内での無害でない行動に対し、国連海洋法条約は必要な措置をとることを認めているが、こうした行動は警察権ではなく自衛権の行使とされている。巡視船は退去を呼びかけるしかないのが現状である。自衛艦が自衛権を行使できることを法的に担保することが抑止となって、中国の無謀な行動から日本を守ることになる。
政権与党の民主党は国の守りをどう考えているのか。憲法そのものへの考え方も不明だ。7年前の「憲法提言」の中で、「制約された自衛権について明確にする」などの原則を示したが、具体的な改正方針は決まっていない。
第三極勢力では、日本維新の会の石原慎太郎代表が現行憲法を、「解決しなければならない主要矛盾」と位置付け、同党に合流した旧たちあがれ日本の自主憲法大綱は「自衛軍」保持を謳(うた)っていた。だが、橋下徹代表代行は「名前を変えるのは反対」としている。
憲法改正とは別に、解釈の変更によって可能な集団的自衛権の行使容認という課題もある。
首相は国会答弁で、有識者会議の提言を踏まえて「政府内での議論も詰めていきたい」と行使容認に前向きな見解を示したことがある。公海上での米艦船の防護など具体的な行使のあり方も含め、安倍氏と論じ合ってほしい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121127/plc12112703200001-n1.htm
社説:自民の「国防軍」 名称変
更の意図を疑う
毎日新聞 2012年11月27日 02時31分
自民党の「国防軍」設置公約をめぐり、民主、自民両党が激しい応酬を繰り広げている。
自民党は、衆院選の「政権公約」で憲法改正をうたい、「国防軍の設置を規定」と宣言している。
同党は今年4月に決めた「憲法改正草案」で、戦力不保持・交戦権否認を定めた憲法第9条2項の表現を削除し、代わりに「国防軍を保持する」などの項目を設けた。自衛隊を国防軍と明記して位置付け直すのが狙いで、これを公約に盛り込んだということなのだろう。
この公約について野田佳彦首相は「名前を変えて中身が変わるのか。大陸間弾道ミサイルを飛ばす組織にするのか。意味がわからない」と批判した。これに対し、自民党の安倍晋三総裁は「憲法9条を読めば、軍は持てないという印象を持つ。詭弁(きべん)を弄(ろう)するのはやめるべきだ」と反論した。民主、自民両党幹部からも同様の批判や反論が相次いでいる。
自衛隊を国防軍と名称変更する積極的意義は、確かに不明だ。安倍氏は国防軍設置に合わせ、「そのための組織を作り」、武器使用基準など戦闘行動要領を定めた交戦規定(部隊行動基準)を整備すると語った。
しかし、日本の防衛戦略である専守防衛を基本に、現在の交戦規定の一層の充実が必要だというなら、国防軍に名称変更しなくても対応できる。そして、国際社会では自衛隊はすでに軍隊と認識されている。
1954年に設置された自衛隊は、侵略戦争の経験を踏まえてあえて「軍」の表現を避けて名付けられた。「軍」の復活はかつて日本が侵略したアジア諸国に、よけいな反発を呼び起こしかねない。
名称変更には、その先に、他国並みの軍隊に衣替えしようという意図があるのかもしれない。日本は今、自衛権行使についても限定的に解釈している。もし、改憲による国防軍設置によって、専守防衛の原則を取り払い、自衛隊の攻撃能力を向上させることを目指しているとすれば、重大な戦略・政策の変更となる。
こうした疑念が湧くのも、安倍氏が自民党「タカ派」の代表格と見られているからである。
国防軍構想には他の党からも批判が出ている。自民党が選挙の支援を受け、衆院選後の連立相手に想定している公明党の山口那津男代表は「定着している自衛隊という名称を変える必要はない」と述べた。日本維新の会の橋下徹代表代行も「(自衛隊の)名前を変えるのは反対だ」と語った。
かつて自民党は「自衛軍」を提唱したことがある。「軍」に執着があるようだ。今回の安倍氏らの正確な意図は不明だが、単純な名称変更なら、それこそ必要ない。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121127k0000m070103000c.
今まで、そういう議論をおなざりにしてきた
つけが回ってきたんだな。
