安倍首相、中国に「警告」=「法の支配」3原則打ち出す―アジア安保会議
30日のアジア安全保障会議に日本の首相として初めて出席し、基調講演に臨んだ安倍晋三首相。講演では、南シナ海の領有権争いで中国と対立するベトナムとフィリピンへの支持を表明。「国際法」を武器に、緊張を高める中国に事実上、警告を与えた形だ。
南シナ海では中国とベトナム、フィリピンとの対立が深刻化。中国が西沙(英語名パラセル)海域で石油掘削を続け、ベトナムが「国際法違反」と批判している。東シナ海の公海上でも24日に中国軍戦闘機が自衛隊機に異常接近した。
こうした状況を受け、首相は(1)国際法に照らし正しい主張をする(2)力や威圧に頼らない(3)紛争は平和的解決を図る―を「法の支配」3原則と銘打ち、全ての国が「3原則を徹底順守すべきだ」と呼び掛けた。
その上で、「政府開発援助(ODA)、自衛隊による能力構築、防衛装備協力など、日本が持つ支援メニューを組み合わせ東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が海を守る能力を支援する」と強調。フィリピン沿岸警備隊に新たな巡視艇を10隻提供するほか、ベトナムへの供与も進める考えを示した。
政府高官は、首相の発言の狙いを「国際社会できちんと行動してくれ、と中国にくぎを刺すためだ」と解説する。
一方、今回の講演のもう一つの目的は、日本の安全保障政策への支持を取り付けることだ。首相は講演で、集団的自衛権の行使容認などの法整備に向けた日本の取り組みは「平和」目的だとアピール。さらに「自由と人権を愛し、法と秩序を重んじ、戦争を憎み、平和を追求する一本の道を、日本は歩んできた」と訴えた。
ASEAN諸国には、日本が軍事大国に戻りかねないとの危惧もある。アジア太平洋の安保問題を議論する同会議には、各国の防衛相や軍関係者が多く出席しており、首相は直接語り掛けることで、こうした懸念の払拭(ふっしょく)を狙ったとみられる。