1997年以後死刑執行ゼロの韓国、アムネスティは死
刑廃止国扱い
アムネスティ・インターナショナル(AI)は韓国を実質的な死刑廃止国に分類している。金永三(キム・ヨンサム)政府末期の1997年12月30日以後15年近く死刑が執行されていないためだ。
死刑を言い渡された後、最終的に刑が確定し、拘置所や刑務所に収監されている死刑未執行者数は現在60人だ。水原(スウォン)で女性を殺害して1審で死刑が言い渡されたオ・ウォンチュン(42)の刑が確定すれば61人になる。
金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の両政権下ではあまりなかったが、李明博(イ・ミョンバク)政権下では死刑執行をめぐる議論が数回行われた。李大統領は、大統領候補だった07年、あるマスコミとのインタビューで「死刑制は犯罪予防という国の義務を勘案すれば維持されるべきだ」と話した。一部では、李大統領の在任中にこれに対する政策的判断が示されると予測する向きもあった。
8歳の小学生がチョ・ドゥスンに残虐に性的暴行された事件が発生した後、10年には「李大統領が死刑執行を深刻に検討した」との報道もあった。当時、法務部が死刑執行対象者を5人以内に決め、ユ・ヨンチョル、チョン・ナムギュ(自殺)、カン・ホスンら執行の優先順位を決めたリストまで作成したが、外交摩擦を懸念した外交通商部と大統領府の外交ラインの反対で白紙化されたという。10年2月には、裁判官5(合憲)対4(違憲)で死刑制度が憲法に違反しないという憲法裁判所の決定が出たが、以後も死刑は執行されなかった。
世界的には国連や国際人権団体などを中心に死刑制度の廃止論が広がっている。国連は現在、約150ヵ国が死刑を廃止したか執行していないと見ている。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は今年7月、死刑制度の廃止を促した。欧州連合(EU)は死刑制度の廃止を加入要件にしている。米国は1972年に死刑制度を廃止したが、凶悪犯罪が増えると1976年に復活させた。しかし、死刑判決の件数と執行件数は減る傾向にある。
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2012090468538
60人の死刑囚を生かせるのに年間約1億ウォンの税金
死刑が人間の尊厳性を侵害するとして2010年に違憲訴訟を出した人は、全羅南道宝城(チョルラナムド・ポソン)で若者4人を連続殺害した漁師のオ・ジョングン(74)だった。オ死刑囚は、2007年8月、海辺に遊びに来た19歳の大学生カップルを自分の船に乗せて海に出た後、男を海に落として溺死させた。女子大生を性的暴行をするためだった。オは、抵抗する女子大生まで海に投げ飛ばした。3週後にも同じ手口で20代の女性2人を殺害した。
オは法廷で殺人を否認した。大学生カップルは波が荒くて水に落ちたが、救ってあげられなかっただけで、20代女性2人については胸を触ろうとして揉めたところ、海に一緒に落ちたが自分だけが助かったと主張した。だが、被害者の遺体は、肌が所々剥かれていたし、全身が黒いあざだらけだった。船に這い上がろうとするのをオが振るう凶器に打たれてできた打撲傷の痕だった。1審で死刑を言い渡されたオは、控訴審裁判の途中、死刑が違憲だとして憲法裁判所に判断を求めた。
●1人当たり平均3.5人殺害
オのように、死刑囚が死刑制度について違憲訴訟を提起した例は、1953年に死刑が刑法に定められて以来4件あった。彼らは、「すべての国民は人間としての尊厳と価値を有する」とした憲法第10条を根拠に殺人犯の生命も貴重であると主張した。
死刑が確定して収監中の死刑囚は現在60人(軍人死刑囚2人を含む)。彼らが殺害した被害者は全部で207人で、1人の死刑囚に平均3.5人が犠牲になったことになる。すでに何人もの生命を奪っていながら、自分の人権を尊重してくれと求めるという皮肉な状況が演じられている。
一方、被害者の家族は、死刑の執行が理不尽に殺された犠牲者の霊を慰め、遺族の人権を保障するための最小限の手段だと考えている。今年8月20日、ソウル市広津区中谷洞(クァンジング・チュンゴクドン)の自宅でソ・ジンファンが振るう凶器に妻を失った夫は、東亜(トンア)日報記者の電話取材に対し「犯人を死刑にするからと言って心の中のしこりがなくなるわけではないが、そうすることで妻の怨念を晴らすことができる。できるだけ苦しく死んでもらわなければならない」と話した。夫は「ユ・ヨンチョルやカン・ホスンみたいな人間は、監獄ですることもなく食べて足を伸ばして寝ているのに、遺族は国の処分だけを待ちながら一生を傷と向き合わなければならないのなら、それは果たして人権とか正義だと言えるのか」と問い返した。
京畿道水原市(キョンギド・スウォンシ)でオに無残に殺された20代女性の弟も「無実な人をあんな形でずたずたにしては反省の気配さえも伺えない殺人鬼を、どうして人間として扱わなければならないの。数十年が経っても社会に出せないような危険人物なら、死刑で社会から永久に遮断するべきだ」と話した。
しかし、韓国憲法は特定法律の違憲性の有無が裁判に影響を与える場合、被告など当事者が違憲法律審判を請求したり憲法訴願を出す権利を認めている。死刑囚もやはり例外ではない。憲法裁判所は、これまで2度あった死刑制に対する違憲審判で、いずれも合憲決定を下している。
殺人と特殊強姦で死刑が確定したチョン某氏が1995年に提起した憲法訴願で、憲法裁は7対2で「合憲」とした。オが提起した違憲審判も、1年5ヵ月にわたり審理の末、合憲と結論を下した。この件では5対4で裁判官たちの意見が拮抗した。「合憲」とした裁判官5人のうち2人が人権を重視する時代の変化を反映して改善が必要だいう意見を出した。
●死刑囚の特権
死刑囚は刑が確定したものの執行が行われていないため、「未決囚」として拘置所の独居室で一人暮らしをする。拘置所の外に出られる希望もない上、「どうせ死ぬんだから」という気持ちからへそを曲げるときは他の囚人や看守らに突発的な行動をしたり威嚇することも多いと、拘置所の関係者たちは伝えている。
ただ、法務部が2008年に関連法を改定し、未決囚の死刑囚を既決囚に準じて扱うことに方針を変えてからは死刑囚らの態度も大きく変わったという。ソウル拘置所に数十人がまとまって収監されていたのを大田(テジョン)、大邱(テグ)、釜山(プサン)、光州(クァンジュ)拘置所へと分散収監されたほか、希望者は労役場で働くこともできるようにした。2010年3月、李貴男(イ・グィナム)法務部長官(当時)は青松(チョンソン)刑務所(現在の慶北北部刑務所)に死刑執行施設を設置し、死刑囚の相当数をここに隔離収容すると明言したが、まだ計画は実行されていない。
死刑の合憲性が2度確認されたが、死刑は1997年以降15年間執行されていない。政府は死刑囚管理の直接費用として毎年1億ウォンほどを使っている。法務部は死刑囚1人に年間約160万ウォン(2008年度予算基準。人権費や施設費用などは除く)をかけていると試算した。食費113万7000万ウォン、医療費21万ウォン、燃料費10万1000ウォン、収容費9万4000ウォン、被服費5万3000万ウォンがかかるという。死刑囚60人を生かせておくために年間9600万ウォンの税金がかかっているのだ。
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2012090468548
執行するもしないも
外国からどう見られるかしかない