社説:衆院選・めざす姿 マニフ
ェストで総論を
毎日新聞 2012年11月18日 02時35分
今回の衆院選でまず問われるのは3年余にわたる民主党政権に対する評価である。初の本格的な政権交代に有権者の大きな期待を集めながら、それが今、失望に変わっているのは民主党自身が認めるところだ。
大きな要因は同党が前回の衆院選で掲げたマニフェストが破綻した点にあるのも明らかだ。高校無償化など実現した政策はあるが、高速道路無料化などは頓挫し、子ども手当も約束した額を大きく下回った。逆にマニフェストに記載していない消費増税は実現し、それが不信に拍車をかけているのも事実だ。
◇苦い薬も提示する
なぜ破綻したのか。言うまでもなく最大の理由は政策を実行しようにも財源が足りなかったためだ。
東日本大震災の発生などの影響は確かにあった。しかし、再三指摘してきたように、そもそも前回の衆院選前に「政治が変わればいくらでもカネは出てくる」とばかりに具体的な財源の手当てをおろそかにしたのが失敗の始まりだ。政権発足前からアピールしていた「税金のムダづかいの根絶」が掛け声倒れに終わったのは周知の通りである。
しかも、かつて民主党は消費増税を提起していたにもかかわらず、「選挙の時に増税を言うのは愚策」という小沢一郎元代表(国民の生活が第一代表)の声に鳩山由紀夫元首相らが同調して増税論議を封印してしまった。今になって「消費増税をするともしないとも書いていない」というのは詭弁(きべん)に過ぎない。
一方、自民党は今度の衆院選でマニフェストという用語は使わず、政権公約と呼ぶという。みんなの党は「アジェンダ」、日本維新の会は「維新八策」と名づけた。「マニフェストは民主党の専売特許」との意識があり、マニフェストのイメージも悪くなったと考えているのだろう。政界の内外には、なまじマニフェストがあるから政治が臨機応変に対処できなくなったという意見もある。
だが、従来の「あれもします」「これもします」式の寄せ集め公約集から脱皮して、政策を実現するための財源を明記し、必要とあれば有権者に「苦い薬(=増税)」も飲んでもらう−−が、マニフェストという手法が生まれた原点だったことを思い起こしたい。それが間違っていたとは私たちは考えない。前回の民主党マニフェストは原点を忘れ、従来の「何でもバラマキます」集と変わらなかったということだ。
一方で数値目標や政策実現までの手順を示す工程表の提示といった側面にメディアも含めてこだわり過ぎたのは確かだ。その結果、各党の中には最近、「数値目標や工程表を盛り込むと、その通り実現できなかった時にうそつきと呼ばれる」と従来型のあいまいな公約に戻そうとする本末転倒な動きまで出ている
内外の情勢は刻々と変化する。政権を取った後、その政策が誤りだったと気づくこともある。有権者も公約に盛り込まれた政策すべてに賛同して投票するわけでもないはずだ。公約変更はあって当然で、その際には、きちんと変更の理由を国民に説明する。硬直的過ぎてはいけない点も再確認しておきたい。
◇政党再生につなげよ
それを踏まえマニフェストをどう再構築するか。それが政党の再生にもつながるはずだ。
民主党だけではない。各党ともキャッチフレーズと各論はある。例えば民主党は前回、「国民の生活が第一」をキャッチフレーズにした。だが、これは当たり前の話、政治の要諦を言っているだけで政治の目標とは決していえない。「コンクリートから人へ」は明快ではあったが、「人」を優先し、どんな社会にするのか、全体像は見えなかった。
最も欠落しているのは、どんな国を目指すのか、どんな社会をつくるのかという「総論」ではないか。道しるべとなる総論が先にあって、それに従って各論を考えるべきなのに何の方向性、統一性もない各論の寄せ集めになっていないか。
今回の衆院選では社会保障、経済戦略、教育、外交・安保政策など、あらゆる分野を統合して、私たちの暮らす社会の将来像を端的に示す「総論」を、各党は競い合って提示し、そして大いに語ってほしいと思う。最初に望みたいのはそれだ。
もう一つ重要なのは、どんな政権のかたちを目指すのかである。今度の衆院選で自民、公明両党が過半数を取って政権を取り戻しても、参院では過半数に足りず、衆参のねじれが続く可能性がある。ならばどうやって政治を動かすのか。他党と組むのか。連携の可能性があるのは何党か。あるいは民主党はどうするのか。極力、具体的に示すべきだ。
とりわけ政党乱立の今回は「勝利を目指す」というだけでは有権者の判断材料にならないし、選挙が終わった後に政策そっちのけで勝手な離合集散が始まるような事態は望ましくないからだ。少なくとも選挙戦を通じて各党が明らかにすべきだ。
衆院選は来月4日に公示される。それを前に私たちもシリーズで日本の針路を考えていきたい。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121118k0000m070106000c.html
長いなこれ
民主がんばれ
の一言で十分だろ