- 2013年 7月 09日 20:51 JST
機長と副機長の経験と訓練が問題視─アシアナ機事故で
- By
- ANDY PASZTOR, JON OSTROWER
サンフランシスコ国際空港でアシアナ機が着陸に失敗して炎上した事故で、調査官らはアシアナ航空のボーイング777型機を操縦していた2人のパイロットの経験と訓練記録を調べている。2人とも、今回の便でのパイロット業務には、ごく最近中に昇進して就いたばかりだった。

Reuters着陸に失敗して炎上するアシアナ機から脱出した乗客や客室乗務員(サンフランシスコ、6日)
政府や業界の専門家によると、今回の着陸失敗をめぐる米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査の一環として、韓国のアシアナ航空が操縦士を選ぶ上で、適切な手順に従っていたか、また、国際安全基準を満たしていたかについて判断しようとしている。
機長と副機長は8日、調査官に事情聴取された。また、ソウルから11時間近いこの路線の任務に就いていた別の2人の操縦士も聴取された。事情聴取は9日も続く見込みだ。 アシアナ航空によると、新たに訓練されたボーイング777型機の副機長は、同型機での操縦経験は43時間しかなく、乗客を乗せた777型機での着陸経験は8回だった。また、サンフランシスコ空港での同型機での着陸は初めてのことだった。NTSBによると、副機長は777型機のベテラン操縦士である機長の指導のもとで操縦かんを握っていたが、機長は6月に教官役に昇進したばかりだった。
業界専門家はこうした操縦士の組み合わせ自体は、米国内外の航空会社の多くでまれではないかもしれない、との見方を示した。しかし、NTSBは2人の操縦士が必要な準備やシミュレーターでの訓練時間、新たな任務のための訓練を受けていたかについて判断しようとしている。
NTSBのデボラ・ハースマン委員長は8日の記者会見で、目標が「彼らの職務と訓練について」もっと知ることた、と述べた。そして、調査が初期の段階にある、と注意を促した。
NTSBは、エンジン問題等のシステム不具合のなかったジェット機を副機長がどのように1分間近くスピードを落として飛行し、滑走路前の護岸に接触したのかについて判断しようとしている。
調査官は、ツインエンジン搭載のジェット機のスピードが事故前のほんの1分強で時速約120マイル(193キロ)まで徐々に低下したと明らかにした。これは機体の重さや天候などに要因に基づき、副操縦士が選んでいた着陸時のスピードを時速約38マイル下回る速度だ。
調査官は、対気速度が危険なほどに下がった場合に発せられる、操縦室のさまざまな警告システムに、なぜパイロットたちが反応できなかったのか、その理由を問いただしている。そうした警告システムは、視覚的にも聴覚的にもはっきりとした警報を出すように設計されている。
英国の航空関連コンサルティング会社アセンド・ワールドワイドの幹部、ポール・ヘイズ氏は、こうした安全装置の故障や他の要因を除外するとすれば、「誰も店内を見ていなかったように見える」と指摘した。
NTSBのロバート・フランシス元副会長は、今回の事故で、「操縦室のずさんに見える手順と、アシアナ航空がどのような方法で操縦士を違う機種の航空機に移すかをめぐって疑問が生じている」と述べた。一連の出来事に困惑する他の安全専門家と同じように、フランシス氏も事故の数秒前まで、なぜ、より経験豊富な機長が介入し損なったかについて困惑している。事故の数秒前になって、ようやく機長が高度を上げたり、速度を高めたりしようとしたが、既に時遅しだった。
アシアナ航空の尹永斗社長は「サンフランシスコ空港での着陸経験のある操縦士だけを同国際空港に送る」と述べ、副機長の777型機での経験時間が問題だったとは考えていないと続けた。「当社ではシミュレーターを通した操縦士の訓練も行っている」と述べた。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324368204578595332683876310.html