75億円投じた月尾銀河レール、
事業断念へ
手抜き工事が発覚し、4年にわたって放置されている仁川市の月尾銀河レール(モノレール)事業がまたも暗礁に乗り上げた。月尾銀河レールを管理している仁川交通公社は9日、記者会見を行い「鉄道技術研究院による安全性についての検証の結果、全体的に問題点が見つかり、これ以上施工会社のハンシン建営に月尾銀河レールを任せておくことはできない。代わりとなる事業を進めていく」と発表した。
同公社はまた、月尾銀河レールの手抜き工事の責任を問い、アン・ヒョンフェ元社長を告発するとともに、関連業務を担当した仁川市の職員など14人について、同市に処分を求める方針だ。
月尾島に観光列車を走らせるという趣旨で、853億ウォン(約75億4900万円)の費用を投じて進められてきた月尾銀河レール事業は、仁川交通公社がハンシン建営を施工会社に選定し、2008年に着工、10年に工事が完了した。ところが、試運転の際に案内輪が破損したり、集電装置が脱落したりするなど、トラブルが相次いだ。
韓国鉄道技術研究院が実施した安全性についての検証の結果は「全体的に不適合」というものだった。検証結果によると、月尾銀河レールは法律で定められた落下物防止のための設備が設置されておらず、また特殊な工法を用いたという一部のレールは、法律に定められた示方書(工事の際に一定の順序を記した文書)も存在しない。車両が定位置で停止できる比率(基準値99.99%)は75%にすぎなかった。実際、今年4月に行われた記者団による試乗会では、列車が1-2分間停止したり、駅のホームドアから70センチ離れた場所で停止したりした。このほか、レールの構造が弱いため、脱線や車両の転落事故が発生する危険があり、全区間のレールを撤去した上で補強を行うべきとの指摘もあった。さらに、接地不良のため感電事故が起こる可能性も指摘されるなど、改善が必要な問題点は38項目に上った。
仁川市や仁川交通公社の担当者たちは、試運転が完了していないにもかかわらず工事完了を承認し、また監理会社は十分な監理を行っていなかったことが分かった。
仁川交通公社は、現在敷設されている月尾銀河レールの軌道を完全に撤去せず、市費を投じて改修・補修を行った上で、別の用途に活用する案を検討する方針だ。
例えば、江原道旌善郡で廃線跡を活用し運行しているレールバイク(軌道自転車)を月尾銀河レールでも運行する案が検討されている。だがこの場合、100億ウォン(約8億8400万円)程度の費用が掛かると推定されている。市民が歩くことができる「空中遊歩道」を整備する案も出ているが、これも数十億ウォン(10億ウォン=約8800万円)の費用が掛かるという。
手抜き工事が行われた部分を補修・補強し、改めてモノレールを整備する案も含まれているが、事実上、建設工事を一からやり直す必要があるとされ、現実性に乏しいと指摘する声が出ている。仁川発展研究院によると、モノレールを整備し直す場合には、来年度に29億ウォン(約2億5650万円)の赤字が発生し、赤字額はさらに膨らんで、2042年には年間56億ウォン(約 4億9500万円)に達する見通しだという。
専門家たちの間では、再開発ではなく撤去するのが妥当だという意見も出ている。仁川大学のパク・チャンファ教授は「月尾銀河レールは仁川市と仁川交通公社、監理会社、施工会社が共同で行った、予算の無駄遣いの代表的なケースだ。新たに血税を投入するのではなく、完全に撤去すべきだ」と指摘した。