- 夕刊フジ(2013年7月24日17時12分)
安倍晋三首相は参院選で圧勝したことを受け、アベノミクスで日本経済の再生を実現するとともに、独自の「世界地図を俯瞰(ふかん)する外交」をさらに前進させる決意だ。日米同盟を基軸として、東南アジア各国などと連携しながら、日本の主権と名誉を傷つける中国や韓国と対峙していく。すでに中韓分断工作に着手した。恫喝外交に屈しないため、防衛力強化も着々と進める方針だ。
安倍自民党の勝利を受け、中韓メディアが反発している。中国・人民日報は「安倍首相は右傾化を主導している」と報じ、韓国・聯合ニュースは「周辺国との関係は冷却状態が持続する」と批判した。これらに日本国内の反日(売国)勢力が加勢するから、タチが悪い。
そもそも、中国は参院選の期間中も、沖縄県・尖閣諸島の周辺海域に公船を何度も侵入させており、昨年の尖閣国有化後の領海侵犯は50回を超えている。22日には、尖閣も対象とする「中国海警局」を発足させた。
韓国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が、日本を歴史問題で攻撃し、中国への接近を強めている。22日には、韓国と米国、中国の3カ国の外交担当者と民間研究者がソウルで安全保障問題に関する会議を開催。露骨な「日本外し」に乗り出した。
安倍首相は就任直後から、中韓両国に「対話のドアは常に開いている」と明言してきた。だが、「中韓は、尖閣問題や歴史問題での譲歩を、首脳会談の条件にしてきた。内政干渉といえる対応に、安倍首相は『とんでもない』『何も慌てることはない』と突き放した」(官邸周辺)。
中韓の思惑について、国際政治学者の藤井厳喜氏は「韓国は経済面だけでなく、軍事面でも中国との連携を強めている。これは李明博前政権時代から着々と進められており、冷戦時代から続いた日米韓連携は崩れつつある」といい、こう続ける。
「韓国は経済失速が激しく、中国の中華覇権主義に身を寄せる選択をしたのだろう。中韓両国の制服組が6月末から接触し、『黄海で共同作戦をやろう』とまで話し合っている。これは米軍排除ともいえる動きだ。今後、日韓関係だけでなく、米韓関係も形骸化していくだろう」
安倍政権としては現時点で、「自由、民主主義、人権」という共通の価値観を持つ韓国を重視し、中国とは切り離して対応している。いわゆる中韓分断だ。先週と先々週には、日韓次官級協議も開かれたが、今のところ「手応えがない」(官邸周辺)という。
こうしたなか、安倍首相は25日から、マレーシア、シンガポール、フィリピンの東南アジア3カ国を歴訪する。安全保障や経済の分野で3カ国と連携を強めて、中国を牽制するとともに、26日にはシンガポールで米国のバイデン副大統領と会談する。
これこそ、安倍首相が「世界地図を俯瞰する外交」と呼ぶ、近視眼的ではない、多角的外交といえる。さらに、外交力の支えとなる防衛力の強化にも着手している。
安倍首相は22日の記者会見で、同盟国との連携に不可欠といえる集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しについて「有識者懇談会で議論を進める」と語った。
さらに、来月6日、海上自衛隊最大となる護衛艦の命名・進水式が行われる。全長248メートル、基準排水量1万9500トンで、同時に5機のヘリコプターが発着できるヘリコプター搭載護衛艦だ。自衛隊と米軍が6月、米カリフォルニア州サンディエゴ沖で行った共同訓練で、新型輸送機MV22オスプレイが着艦した現在最大のヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」(全長197メートル、基準排水量1万3500トン)より、二回りほど大きい。
この新型護衛艦は、中国の海洋覇権主義にも対応するものだが、艦名について、防衛省のインターネット上の誤掲載から「いずも(出雲)」となりそうだと報じられた。出雲は現在の島根県東部で、日本海を挟んで韓国と向かい合う。安倍首相は中韓両国にどう対応すべきなのか。
前出の藤井氏は「日米同盟を基軸に、東南アジアやインドなど、共通の価値観を持つ国々とまず連携していく。足元を固めたうえで、中国と韓国と対峙すればいい。日中、日韓首脳会談も急ぐことはない」という。
官邸周辺も「日本経済を再生させて、国力を強化していく。外交も防衛も先立つものは経済力。参院選圧勝で安倍首相は国民の信託を得た。使命感を持ってやっていくだろう」と語っている。