イプシロンで外国衛星打ち上げ まずベトナム
新型ロケットで17年にも
2013/9/23 2:02
政府は2017年から、新たに開発した小型ロケット「イプシロン」で外国の衛星を打ち上げる。第1弾としてベトナムの観測衛星を打ち上げ る方向で交渉に入った。衛星の製造はNECが受注する見通し。今月14日のイプシロン初号機の成功で、短期間で安く衛星を製造し打ち上げる体制が整った。 豪雨や洪水、地震などの災害を監視する小型衛星は、新興国の需要増が期待できる。官民が協力し、先行する欧米やロシア、中国を追い上げる。
イプシロンの初号機は地上での試験などがかさみ、打ち上げ費用は約53億円と外国の小型ロケットより高い。初の成功で宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17年には打ち上げ費用を欧州を下回る30億円以下にするメドをつけた。日本政府はイプシロンで小型衛星を打ち上げるようベトナム政府に働きかけており、交渉を本格化させ、来春にも基本合意したい考え。
ベトナム政府とは11年に政府開発援助(ODA)を活用して宇宙開発を支援することになった。17年を目標に災害監視の衛星を打ち上げる計画で、衛星の開発・製造を日本企業に発注することまでは内定していた。
ただ、打ち上げは日本の主力ロケット「H2A」だとコストが見合わず、外国産ロケットも含めてベトナムの意向を重視することになっていた。
衛星も低価格で製造する。NECは基幹部品の共通化を進め、従来の3分の1ほどの40億~50億円で作れるようした。イプシロンと組み合わせると、衛星の開発から打ち上げまでの費用が70億~80億円程度になる。
打ち上げ費用だけではロシアなどがまだ安いが、衛星の製造から打ち上げまで一括受注すると、世界的に見ても十分なコスト競争力を持つ。衛星の開発着手から運用開始までの期間も従来の3分の1の約2年になる。
政府は今年1月に決定した今後5年の「宇宙基本計画」で民間需要と海外需要の取り込みを明記、イプシロンをその主力ロケットと位置付けた。ベトナムのほか、タイやマレーシアなど東南アジア諸国を中心に、官民が協力して売り込む。
日本の外国衛星の打ち上げ実績は、12年にH2Aに搭載した韓国の多目的衛星しかない。H2Aの打ち上げ費用は100億円弱かかり、受注につながっていなかった。
米衛星産業協会によると、12年の衛星の製造と打ち上げビジネスの世界市場は約211億ドル(約2兆1000億円)。小型衛星は新興国の需要が増えて伸びる見通し。
ODAだが、決定すれば、それが実績となって、やがてODA無しでも受注できるようになるだろう。