米政権、TPP加速へ苦慮…切り札「TPA」復活、議会割れる
2013.11.16 12:22【ワシントン=柿内公輔】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐり、オバマ米政権が苦慮している。大統領に強い通商権限を与える「大統 領貿易促進権限(TPA)」の復活について議会で賛否が割れているためだ。早期妥結への「切り札」(米政府高官)とされるTPAの動向は、TPP交渉の行 方に影響を与えそうだ。
「政府はTPAで議会をTPP交渉から排除しようとしているのではないか。ファスト・トラック(追い越し車線)には反対だ」
下院の与党民主党のデラウロ議員ら150人以上の議員は13日、オバマ大統領に書簡を送り、TPA復活へ反対を表明するとともに、TPP交渉にあたり議会 と十分協議するよう求めた。前日には野党共和党のジョーンズ下院議員らも「貿易に条件を設ける権限は議会に認められている」と同様の書簡を大統領に送付。 超党派でTPA反対ののろしを上げた形だ。
TPAは、米国が他国と結んだ通商協定について大統領が議会に修正を許さず、批准に賛成か反対かだけを問える権限。政府が通商交渉を進めやすくなるため、「追い越し車線」とも呼ばれるが、相対的に影響力が下がる議会の反発から2007年に失効した。
足取りの重いTPP交渉の加速に向け、オバマ政権はTPA復活を求めている。だが、日本と同様に、米国も政府主導で交渉が進む現状に議会は不満を 強めている。10月の首脳会合で大筋合意に至らなかったのも、デラウロ氏は「議会との十分な協議を欠いたからだ」と政権を批判する。
た だ、議会にもTPP交渉の遅れは米国の国益にならないとの声もあり、TPA賛成の立場で交渉加速を目指す超党派議員団が10月に発足。14日のワシントン での日米財界人会議でもTPAが話題となり、復活法案の提出を目指す上院のボーカス財政委員会委員長(民主)は「TPAが失効した間に、各国は続々と通商 交渉をまとめた」と指摘し、米通商代表部(USTR)のフロマン代表も「議論は結構だが、早くTPAを認めて」と焦りをみせた。
米国は財政協議決裂による10月の政府機関閉鎖をめぐって、オバマ大統領がTPP交渉の首脳会合を欠席し、「傷を負った」(フロマン氏)。交渉の旗振り役のはずが、今や「足を引っ張る」(外交筋)米国への不信感が各国に渦巻く。
オバマ政権はTPA復活を目指すほか、ルー財務長官がアジアを歴訪して交渉加速への協力を各国に呼びかけているが、米国の求心力に影が差している。