大きな衝撃の直後、船体は急激に傾き船内に水が流れ込んだ。倒れた自動販売機に当たって負傷、流血する人も。修学旅行生を中心とした乗客らは、韓国メディアに沈没時の状況を口々に語った。報道から事故時の状況を再現した。
乗客乗員459人を乗せた旅客船「セウォル号」が仁川を出港したのは15日夜。乗客は船内で就寝し、目的地の済州島まで通常なら約13時間半で運ぶ便だ。
乗客らが寝床から起き出した16日朝。「『ドン』という音が聞こえ、船が傾いた」(男子生徒)。転倒したり、頭から血を流したりする生徒もいた。別の女子生徒はKBSテレビに「(最初は)波が強いのかと思ったが、船がどんどん傾いて不安になった」と証言した。
エンジン室にいた船員は「船の前部が衝撃を受けた」。別の乗客は「船が90度近くに傾くと、船体の側面から一気に水が入ってきた」と語った。
船は午前9時ごろ、南西部の珍島付近から遭難信号を発信。午前10時10分ごろ「沈没が迫っている。乗客は海に飛び降りろ」との船内放送が響く。「自信があれば傾いた船の甲板に登れ」との指示も飛び交い、船内は混乱した。
同20分ごろ、乗船者の一人は韓国メディアの電話取材に「船が完全に沈んでいる。学生が多く、早く救助しないと大事になる」と緊迫した状況を伝えた。女子生徒は「床より壁に立っている方が楽なほど(傾いていた)。甲板に登れない子も多かった」。女子生徒はヘリで救助され、上空から多数の救助船舶を見た。
乗客の一人は、当初の船内放送は「その場にとどまるように」との内容だったと証言。自身は「じっとしていられず救命胴衣を着て(船室外に)出た」といい、「早く退避するよう指示した方が良かったのでは」と船側の対応に疑問を呈した。
一方、海水に漬かってから救助された男子生徒は「海水はとても冷たく低体温症になり、救助されたボート上でぶるぶる震えた」と振り返る。韓国紙、中央日報は、現場海域の水温は12.6度で、救命胴衣を着けた状態での生存時間は2時間ほどだと指摘した。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1603P_W4A410C1000000/