2014年04月25日11時23分
旅客船沈没:「食堂に生存者」SNSのデマが捜索の妨げに
旅客船「セウォル号」が沈没した当初、「食堂に生存者がいるから、助けてほしい」などといったソーシャル・ネット ワーキング・サービス(SNS)のうその書き込みが、捜索を行う上で混乱を招いていたことが、24日までに分かった。救助に当たる人たちは、SNSのうそ の書き込みが作り上げた「世論」に押され、行方不明者の生存率が高い「ゴールデンタイム」に食堂への進入を試み、結局は無駄足となった。犠牲者の遺体は、 SNSに書かれていた食堂ではなく、船首部分で多く発見された。
事故発生の翌日の今月17日午前、フェイスブックには「檀 園高校(京畿道安山市)の生存者が救助求める」という書き込みが寄せられた。「どうか、この情報を伝えてほしい。どうか。私たちは今、食堂の隣の客室に6 人でいる。携帯がつながらない。ガラスが割れる音が聞こえてくる。何も見えない。早く。食堂の方に多くの人がいる。どうか早く助けてほしい」。あたかも、 檀園高校の生徒が食堂で救助を求めているかのように見える緊迫した内容だ。「食堂の方は水があまりたまっていないため、生徒たちが集まっている」という書 き込みもあった。警察は23日、セウォル号の行方不明者を装い、このような文章をSNSに書き込んだとして、大学を休学中の男(20)を情報通信網法違反 容疑で書類送検した。
面白半分、あるいは人々の関心を引き付けようとして、このようなうその書き込みをしているわけだが、 その影響力は大きい。スマートフォン(多機能携帯電話端末)で「生存者の救助要請」を装った書き込みを見た家族は、海洋警察に対し「今すぐ救助しろ」と求 めた。ある家族は体育館のステージに上がり、スマートフォンを見せて「これは本当だ」と訴えた。「子どもたちは生きている。生きているってことだよ。早く 助けて。何で食堂に行かないのか」という家族の叫びがこだました。
家族の要求を受け、海洋警察は事故直後から、食堂への進 入に全力を傾けた。ダイバーたちは数日間、視界が20センチにすぎない海の中で、必死の思いでガイドラインを設置し、食堂の方に進むルートを確保した。潮 の流れが遅くなる「小潮」の初日に当たる22日、海洋警察は食堂への進入にようやく成功した。ところが、食堂では行方不明者が1人も見つからなかった。 23日になって、海洋警察は捜索範囲を船首や船尾にまで拡大し、ここで30人以上の遺体を発見した。
専門家たちは、海洋警 察が最初から、食堂ではなく船首部分の捜索を行っていれば、より多くの行方不明者を救出できただろう、と指摘している。木浦海洋大学のシン・ホシク教授は 「船尾が船首よりも深く沈んでいる状態にある場合は、船首には水がたまっていない可能性がある。SNSのうその書き込みのため、大事な時間を無駄にした」 と語った。また、韓国海洋大学のキム・セウォン教授は「食堂は開放的な空間である上、出入り口も多いため、水に浸かる可能性が高かった。水があまり貯まっ ていない船首の方向にまずダイバーを投入するべきだった」と指摘した。SNSに書き込まれたデマが、正確な状況判断を妨げたことにより、わずかながらも 残っていた生存者の救助の可能性すら奪ってしまったというわけだ。