およそ人(男)がこの世で得たいと願うものは次の三つである。すなわち
(1)地位(権力)
(2)名誉
(3)財力
だが、日本社会では昔からこの三つを一人で占めてはならないという暗黙裡の不文律がある。三つのうちにどれか二つを得るは可なるべし、だが三つ全てを得ようとするは本人のみならず周囲にとっても必ず禍なるべしーということだ。それは長い日本の歴史の中で育まれた日本人の知恵でもある。日本では中国や欧米のように全てを持つ絶対者を嫌う。
だが、このことを現代の日本人は案外と知らないようだ。
どれひとつも持てない日本の庶民が「武士は食わねど高楊枝」や「公家の擦り切れ衣」「狸の成金御殿」などと揶揄できるのも中国のように地位も財力も権力もすべてを持つ絶対権力者を産まないし好まない日本社会ならではの特徴かもしれない。
その意味では既に地位ある科学者は名誉あるノーベル賞をもらって良しとすべきで、中村教授のように財までをも求めるのは日本の社会では確かに受け入れられない主張だろう。 日本人はほどほどを知らない欲張りは人間として嫌うのだ。