稲わらを材料にした高効率バイオエタノール製造技術の開発
当社は、サッポロビール株式会社(社長:尾賀真城)と共同で、平成20年7月から5か年にわたり農林水産省補助事業「ソフトセルロース利活用技術確立事 業」を実施、その後もバイオエタノールが石油代替の燃料となり得るための自主研究を継続した結果、今回の技術を確立したものです。 地球温暖化防止対策のCO2排出量削減を目的とした再生可能エネルギーであるバイオエタノールは、主に米国やブラジルでトウモロコシや砂糖キビなどを原料に製造されていましたが、現在では食糧問題と相まって、食糧と競合しないセルロース系バイオマス(注1)からの製造が注目されており、当社では稲わらを原料に、研究を進めてきました。
稲わらに含まれる成分のセルロースやデンプンは、糖化・発酵させることでエタノールを製造できます。糖化には複数の方法がありますが、少ないエネルギー投 入量で糖化できるものとして酵素糖化があります。ただし、この酵素糖化を効率的に行うためにはそれぞれの成分に応じた前処理が必要です。

今回当社は、稲わら中に含まれるセルロースからエタノールを製造するための前処理として開発した「アルカリ処理」(注3)が、同じく稲わらに含まれるデンプンにも作用し、デンプンからエタノールを製造するための処理として有効に利用できることを見出しました。
この作用を活用し、セルロースからエタノールを製造する工程に、デンプンからエタノールを製造する工程を組み合わせ、稲わらを原料としてセルロースとデンプンから同時にエタノールを製造する高効率な技術を開発しました。
本技術により原料の稲わら単位重量当たりのエタノール製造効率を高めた結果、エタノール製造コストは70.7円/L、CO2排出量削減率も52%を実現しました。(注4)この値はバイオエタノールが石油代替の燃料となり得るための目標値である製造コスト100円/L以下、CO2排出量削減率50%以上という基準を満たしています。
本研究の成果を基に、未利用バイオマスである稲わらをバイオエタノールの原料として利用することで、温暖化ガス排出量の削減のみならず、再生可能な国産エネルギーとして大いに貢献が見込まれます。
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2014/1353301791889.html
日本の稲わらからバイオエタノール製造プロジェクト
日本各地で、「稲わらからのバイオエタノール製造プロジェクト」が進んでいる。農林水産省が推進する「ソフトセルロース利活用技術確立事業」であ る。2008年度採択の3つのモデル地区(北海道、秋田、兵庫県)では、2009年度の秋までに各プラントの整備を完了しバイオエタノールの製造実証に着 手した。2009年度には、1モデル地区(千葉県)が新たに採択され、プラント整備を終えて製造実証の準備を進めている。
原料はいずれもソフトセルロース系バイオマスである稲わらである。日本国内で発生する稲わらは年間920万トンあり、これから180万kLのバイオ エタノールが生産できる。稲わらからのバイオエタノール 製造は、前処理→糖化→発酵のプロセスから成る。4つのモデル地区での製造プロセスは、それぞれ独自の技術で製造実証試験を行なっている(表)。
4つのモデル地区での、バイオエタノールの年間製造規模は、北海道が1,040 L、兵庫県が800 L、秋田県が22,500 L、千葉県が6,700 Lで合計31,040 Lである。製造されたバイオエタノールは品確法に定める品質を満たし、ガソリンと混合され、関東圏および関西圏(京都、大阪、和歌山)ではバイオガソリ ン、新潟県ではグリーンガソリンの名称で現在販売されている。
表 ソフトセルロース利活用プロジェクト
(エタノール製造) 北海道
(恵庭市) 大成建設㈱、サッポロビール㈱ 1,040 L/年 秋田県
(潟上市) (社)秋田県農業公社、カワサキプラントシステムズ㈱ 22,500 L/年 千葉県
(柏市) 柏の葉バイオエタノール生産実証有限責任事業組合(㈱Biomaterial in Tokyo, (有)柏みらい農場、㈱大善、日本製紙ケミカル㈱、増幸産業㈱、長瀬産業㈱) 6,700 L/年 兵庫県
(明石市) (財)ひょうご環境創造協会、三菱重工業㈱、白鶴酒造㈱、関西化学機械㈱ 800 L/年

図 ソフトセルロース利活用プロジェクト

図 稲わらからのバイオエタノール製造プロセス
表 各プロジェクトの前処理、糖化、発酵技術
(恵庭市) アルカリ前処理 同時糖化発酵 秋田県
(潟上市) 微粉砕 熱水糖化法 非遺伝子組換酵母
によるセミバッチ法 千葉県
(柏市) アルカリ蒸解・
微粉砕処理 糖化酵素回収 C5、C6発酵 兵庫県
(明石市) 水熱分解 酵素糖化 非組換え酵母
によるバッチ法
2003年(平成15年)度、国産稲わらは約871万t 生産されているが、利用状況をみると飼料用は約1割にとどまっており、約8割の稲わらは、すき込み・焼却等で処分されている。飼料用稲わらの総供給量は119万tであり、このうち、国内産稲わらは85%、輸入稲わらは15%
輸入稲わらは将来なくすべき対象であろう。 この稲わら等は口蹄疫の原因にもなったりする。
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