豪、中国企業に港湾貸与 北部ダーウィンで99年間 海兵隊駐留の米反発
米海兵隊が南シナ海をにらんで駐留するオーストラリア北部ダーウィンで、駐留拠点にほど近い港湾を中国企業に99年間貸与する契約が締結され、米国と同
盟国の豪との関係が冷え込んでいる。「アジア重視」を唱えるオバマ米大統領にすれば顔に泥を塗られた形で、豪側に不満を表明。31日から米ワシントンで始
まる「核安全保障サミット」で関係諸国との連携強化を目指すオバマ氏を横目に、中国が米国の同盟関係にくさびを打ち込んでいる。(ネピドー 吉村英輝)
豪北部準州は昨年10月、インフラ関連の中国企業「嵐橋集団」に、ダーウィン港の商業用港湾施設を約5億豪ドル(約430億円)で99年間、貸し出す契
約を結んだ。嵐橋集団は中国軍とのつながりもささやかれ、3月20日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「中国は米と豪の海軍活動をスパイする最
前列を購入した」という専門家の見方を報じた。
豪紙オーストラリアン(電子版)は3月上旬、米国務省がこの問題で、豪国内で秘密裏に世論調査を実施していたと伝えた。港湾施設貸し出しについて、リス
クが「大いにある」との回答が43%、「多少ある」が46%、「ない」は11%にとどまったとしている。秘密調査の報道は、豪側へのいらだちを募らせる米
側のリークの可能性もある。オバマ氏は2011年、豪を訪れてアジア重視の政策転換を表明し、ダーウィンを新たな米軍の拠点にすると発表。巡回駐留は近く
2500人規模になる見込みだ。
昨年11月、ターンブル豪首相と会談したオバマ氏は「中国との契約は事前に相談してほしい」と不満を表明。ターンブル氏は、安全保障上の問題はなく「新聞を読んでいれば分かった情報だ」と反論した。
豪の安全保障専門家らは嵐橋集団について「中国軍のフロント企業」などと警告したが、政府はその後も態度を変えず、経済効果を主張。「通常の商業活動」
とする中国外務省と歩調を合わせる。豪財務相は3月、外国投資の審査を厳格化すると発表したが、港湾の資産価値(3億9千万豪ドル)を大幅に上回る契約額
に疑問の声も出ている。
親日派とされたアボット前首相を昨年9月、党内クーデターで引きずり降ろしたターンブル氏は中国ビジネスで成功を収めた人物で、豪が依存を深める経済を武器に、中国が同盟関係に割って入った格好だ。