「中国を喜ばせる結果に」 ローウィ国際政策研究所(シドニー)のユアン・グラハム氏に聞く
ローウィ国際政策研究所(シドニー)ユアン・グラハム氏(博士)
ターンブル政権は、次期潜水艦の共同開発相手決定で、性能などを考慮したと強調した。ただ、野党労働党は潜水艦の国内建造を主張して政権攻撃していた。安全保障面だけではなく、雇用など国内問題が今回の決定に影響した側面は否めない。
ターンブル氏が政権浮揚のため打って出る今年7月の総選挙では、次期潜水艦が建造されるという南オーストラリア州の議席がカギを握る。政局も考慮されたと 思われて仕方ない。日本からの潜水艦調達を主張していたアボット前首相は、今回の決定が「不純」だと選挙戦で攻撃するだろう。
米軍は豪側に、現役の「コリンズ級」と同様、フランスの次期潜水艦でも、戦闘システムを提供はするだろう。だが、日本の「そうりゅう型」に提供される予定だったものと比べれば、性能面で制約を受ける。日豪と連携して南シナ海などの抑止力維持を目指す米国の落胆は深い。
ターンブル氏は会見で、あえて日本との安保上の連携の重要性を訴えた。日本の安倍首相が、今回の決定で対豪関係を厳しくみると承知しているためだ。他の防衛装備品を日本に発注するなどし、日本との関係改善を模索する必要がある。
そうりゅう型の調達に反対していた中国からの圧力が、どう影響したかは不明だ。だが、現実政治として、今回の判断は中国を喜ばせる内容となった。次期潜水 艦の実践配置までには時間がかかる。国内建造にしたことでさらに長期化するだろう。その間、国際安保情勢が想定以上に厳しさを増せば、ターンブル政権の今 回の判断は、禍根を残す結果を招く。(談)
http://www.sankei.com/world/news/160426/wor1604260040-n2.html