統一コリア 誰もが目指すが誰も望まず
中 国は、国連安全保障理事会で拒否権を行使し、韓国の期待に反して、北朝鮮の最近の弾道ミサイル発射を非難する声明採択に向けた日米韓の試みを失敗させた。 専門家の大部分は、中国は、韓国領内への弾道弾迎撃ミサイルTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)システム配備への反発として、こうした反応を見せたと捉 えている。
© AFP 2016/ Jung Yeon-Je韓国は言葉の上でなく実際に南北朝鮮統一を望んでいるのか?今 年3月中国は、北朝鮮の核問題に関連し、これまで課されたものの中でも最大規模の制裁措置の採択を支持したばかりだった。当時こうした中国政府の立場は、 韓国内において、北への圧力強化のしるしとして受け止められた。韓国政府自体、北が核軍縮に忠実な立場を示さないうちは、北朝鮮との間でいかなる交渉も行 わないとし、事実上、北に対する封鎖政策に着手した。韓国は、国際的な制裁により悪化した経済危機や、中国の厳しい態度によって、金正恩政権が自らの核プ ログラムを捨て、もっと予見可能な国となるか、接近を図るものと期待して、そうした措置をとった。その意味では、北朝鮮の核軍縮は、主な目的、つまり半島 全体の統一に向けた唯一の措置である。
この事を、韓国の朴槿恵大統領は幾度となく述べ、そのためのモ デル、手本として、東西ドイツの統一を挙げてきた。こうしたことは、国の再統一に向けた初めての試みでは決してない。2000年には、宣言書の調印にまで 行った。その中で南北朝鮮は、何らかの妥協点を見つけ出すよう試み、和合を目指すことで合意を見た。 しかし「太陽政策」と呼ばれた接近策は、2006年 10月に北朝鮮が最初の核実験を実施したことで崩壊してしまった。
最新の分析によれば、南北 朝鮮の経済格差は、現在、20倍から40倍とのことだ。北が南のレベルに達するには、少なくとも20年と1兆ドルが必要だと言われている。その際コスト は、韓国の国家予算からばかりでなく、国民も支払うことになる。韓国のAsan Institute for Policy Studiesが実施したアンケート調査によれば「統一コリア」を数の上で、韓国の圧倒的多数の人々が支持しているものの、特別の「統一税」導入について は、韓国の若者達の間で意見が分かれ、支払う用意があると答えたのは約35%に過ぎなかった。なお同様の調査では、50歳以上の韓国民のほぼ64%は、支 払うつもりだと答えている。また統一の時期に関する質問に対し、大部分の人達は、アンケートの中の「状況次第」という項目を選択した。つまり韓国市民は、 統一は望みながらも、それは今後先のいつかとして考えている。
一方韓国当局は、統一は必要不 可欠であり国民はそれを望んでいるとして、世界各国を説得しようと大きな努力を傾けている。そうした目的をもって、韓国の大統領や外務大臣は今年、北朝鮮 と少なくとも最低限の温かな関係を維持しているロシアを含め、一連の国々を訪れ、南北朝鮮統一は、はるか遠くのことではなく、その意味で北朝鮮の体制を支 えるのを止めることが最善の戦略だとして説得を試みた。
© AP Photo/ Junji Kurokawa中国が北朝鮮難民の大量流入から日本を解放するも ちろん、半島を統一するためには、地域のカギを握る国々の立場を考慮する必要がある。ロシアと中国は、朝鮮が再統一された場合、米軍が自分達の国境に近づ いてしまうことを懸念している。一方米国は、この地域における自分達の立場が失われ、中国に近い立場をとる新しい国が誕生するのではないかと恐れている。 また日本は、反日的な機運が高まり、ハイテク市場での統一コリアとの競争が強まるのではないかと心配している。つまるところ、すべての国々が、大なり小な り、難民の大量流入や地域の不安定化に不安を持ち、統一コリア政府のコントロール下に核兵器が置かれることに断固反対している。
一 方、当然ながら、北朝鮮にも自分達の見方がある。北の指導部は、統一を妨げているのは「帝国主義勢力とその傀儡」だと考えている。つまり、米国駐留軍とワ シントンによって支えられたソウル政府が、主に妨害しているということだ。北の考えによれば、南北再統一は、彼らを追い出して初めて、チュチェ思想に則っ て北朝鮮指導部のもとでのみ可能なのである。
スプートニク日本記者のインタビューに対し、ロシア極東研究所コリア調査センターのエキスパート、コンスタンチン・アスモロフ氏は、次のように述べている-
「南 北朝鮮対話の中では、絶えず一方の側が、他方を非難している。一方が、統一を目指し提案などを持ち出すと、他方はいつも、それを無視してはねつける。そう したなかでは、提案の一部でさえ、現時点では遂行できない。不信という『氷』を解かすことは大変難しい。何十年もの間に蓄積されてきたものを、数年で払拭 することは不可能だ。しかし、それが大変困難に満ちたものであったとしても、理論的には統一は可能である。いかなる場合であっても、互いを威嚇しあうより は、対話の方がより良い。もちろん、外からの影響もあるが、それを過大評価すべきではない。内部的なファクターが演じる役割は小さくなく、大きい。核兵器 の存在が、統一をある期間遅らせていることなど、北朝鮮を統治する金正恩氏を心配させてはいない。統一国家の枠内では、彼の政治的未来はないからだ。」