【時視各角】「韓半島4月危機説」が「偽ニュース」だって?
【時視各角】「韓半島4月危機説」が「偽ニュース」だって?(1)「4月危機説」は“説”ではなかった。“ファクト(事実)”だった。われわれだけが一生懸命見ないようにしていた。米国は韓半島(朝鮮半島)周辺に空母を移動させて毎日のように大統領が「すべてのオプション」を叫んでいる。中国指導者は衝突を止めさせようとして米国に1時間以上にわたって電話をかける。北朝鮮はこれ見よがしにミサイルを次々と発射した。ところが韓国の外交部はのんきに「危機説には根拠がない」などと言っている。本当にそうだろうか。外交部の主張通り「4月危機説=偽ニュース」が正しいなら、米国のマスコミ各社はすべて廃業しなくてはならない。
ワシントンから見る米国マスコミは北朝鮮に対する軍事行動を既成事実化する雰囲気だ。CNNやFOXニュースでは一日中「北朝鮮」「軍事行動」という真っ赤な字幕が流れる。メディアだけではない。議会も「このままにしておくことはできない」が主流になった。大物政治家が先を争うように「北朝鮮への報復」を主張する。米国政府はどうなのか。13日の国務省の会見では「北朝鮮」という単語が58分間に26回登場した。たった2週間前を振り返っても、多くて1~2回程度だった。もう後戻りしたくてもできないほど、北朝鮮への軍事行動論は多く出すぎてしまった。ありとあらゆる「空威張り発言」でトランプが自ら招いた側面もある。
過去20年間余り、米国の北朝鮮政策は「空威張り→交渉→空威張り」の反復だった。一種の「妥協の原則」が働いていた。最初は力で押さえ込もうとするが、軍事作戦の限界に気づいて交渉に入った。この原則に準ずるなら、今後の予想はこうだ。
第1段階:米国・中国の制裁と軍事圧力で韓半島の緊張が高潮→第2段階:北朝鮮の核実験あるいはミサイル試験→第3段階:米国の戦術核兵器韓半島配備で一触即発の戦争危機→第4段階:戦争を避けるために中国が仲裁に出て米国はやむをえず交渉による事態解決に参加→第5段階:激しい神経戦の末に核・ミサイル凍結に米朝合意。
最終妥協点が「非核化を前提にした緩やかな形の凍結」なら、北朝鮮は韓国と日本への打撃能力を維持しつつ、米国は本土への脅威を受けなくなる。中国にもこれといって不利なことはない。われわれだけが「労多くして功少なし」となる。「許された常時脅威」の中で生きていかなくてはならない。果たして第1~5段階のように進むのだろうか。いや、その前にそのように進んでもいいのだろうか。われわれが今、どの段階に立っているのか、分かってはいるのだろうか。
軍事行動は最悪のシナリオだ。サン=テグジュペリは「戦争は病気である。伝染性のチフスのような」と言った。最近の雰囲気がまさにこれだ。2003年、「大量破壊武器の除去」世論をあおり、結局イラクに対する無差別爆撃へと続いたブッシュの時と流れが似ている。米国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威現実化よりも、首都圏2500万人の「人質」を優先するだろうという考えは今では固陋な楽観論に過ぎない。米国は第3次世界大戦、核戦争も辞さないでキューバを封じ込めた国だ。韓国政府は「韓米同盟はこれまでになく強固だ」と叫んでいるが、米国は韓国が最も厳しい局面を迎えていた時、韓国を米国の防衛ラインから外して北朝鮮の南侵への誘惑をあおったことがあり(50年1月アチソン宣言)、相談なく在韓米軍の撤収を決めた(70年)ことがある。韓国は眼中になかった。
「最悪」を想定して悪いことはない、中国の破格的な圧迫で急場はしのげるかもしれない。だが、ことし末になればプルトニウム弾を装着した弾道ミサイル配備が終わることを知っているトランプは、北朝鮮に対する軍事行動の決断をそれほど長く先送りにはしないだろう。時間の問題ということだ。
だが、韓国大統領選挙に出馬した5人の候補からは、この危機を解決するロードマップも、危機意識も見えてこない。「トランプとは同じウォートン・スクール出身なので通じ合える」〔安哲秀(アン・チョルス)候補〕は虚無コメディだ(閣僚、ホワイトハウス中間幹部級以上の人事で、ウォートン・スクール出身は長女イヴァンカを除けば0人というほど、トランプがウォートン出身者を採用していないことをご存知ないのか)。「一方的な軍事行動を封じる」(候補全員)とする答えも小学生水準だ。どうしてわれわれは歳月が流れてもこのような低級な候補を見て票を入れなければならないのか。だが、境遇を嘆いている時間もない。韓国政府は危機ではないとの見解なので、候補でも共同特使団として米中に派遣する案を真剣に検討していただきたい。
金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長