【現場から】アリアナ・グランデはなぜ「ヤマモト・グランデ」になったのか
2017年08月17日10時06分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] comment0
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15日、高尺スカイドームで初の来韓公演を開催した米ポップ歌手のアリアナ・グランデ。保安を理由にソウル公演の写真撮影を許可しなかった。3rdアルバム『デンジャラス・ウーマン』発売後、同名のタイトルで行っているツアーの様子。(写真提供=現代カード)
米国のポップスター、アリアナ・グランデ(24)が初の来韓公演を終えた。15日、ソウル高尺(コチョク)スカイドームはアリアナ・グランデを見ようと2万人の観客が詰めかけ、100分間にわたるパワフルなライブが披露された。ところが公演が終わると「韓国は経由地か」「誠意がなさすぎる」などの非難があふれた。韓国には7時間しか滞在しなかった「ポップの妖精」は、日本だけが好きという意味の「ヤマモト・グランデ」という皮肉をどうして聞かなければならなかったのだろうか。
最初のボタンから掛け違えていた。公演前日の14日午後1時に韓国入りするといううわさが広がっていたが、グランデが現れなかったため、公演に支障が生じたのではないかという話が出てきた。韓半島(朝鮮半島)情勢の不安を理由に来韓を取り消したリチャード・マークスの影響も大きかった。もちろんグランデは初めから公演当日に入国する予定だった。公演を主催した現代カード側は「アーティストが保安問題に極度に鋭敏な状態で、核イシューが再度大きくなったことで韓国滞在時間を最小限に抑える考えだった」とし「要請により日程を非公開にした」と明らかにした。
グランデの心情は十分に理解できる状況だった。5月22日、英国マンチェスターで開かれた公演直後、会場で爆弾テロが発生して22人が死亡する様子を目撃した状況でツアーの続行を決めたためだ。観客もこれを知っていたので、雨傘や自撮り棒、カバンなど持ち物搬入禁止や空港検問を彷彿(ほうふつ)とさせるほどの厳しい保安検査にも特別な不満を表さなかった。
問題はアーティストと観客の間の信頼関係が壊れた点にある。65万ウォン(約6万3000円)のVIP 1パッケージを購入した観客は、優先入場やフリーショーバックステージツアー、写真撮影などの特典を期待し、一般観客も当代最高のポップスターという名声に見合う公演を期待していた。
だが、わずか公演3時間前の午後5時に金浦(キンポ)空港に到着したことで日程がずれ込んだため、リハーサルは簡単なサウンドチェックのみ、ファンミーティング(Meet and Greet)タイムは縮小され、その間に一般観客の入場が始まったため混乱が生じた。結局、VIPパッケージを販売したグランデ側は110人余りの観客に優先入場に該当する20万ウォンの部分払戻しを決めた。
だが、その時間、グランデはインスタグラムにトイレで公演前の発生確認をするライブ動画を掲載していた。「九老(クロ)聖心(ソンシム)病院」という位置タグにファンは驚いた。気象事情で当初の予想から入国がずれ込み、長期ツアー中のアーティストはリハーサルを個別にしないケースが多いとしても、謝罪するどころかむしろ平気な様子に裏切りを感じたのだ。
その後、100分間で24曲をいかに完ぺきに歌いこなしたと言っても、すでに背を向けたファンの心を取り戻すには力不足だった。その上、ドームの特性上、響く音響と暗い照明をうまくコントロールできず、公演をそれなりに観覧することも難しかった。公演を終えたグランデはSNSに「ソウルは美しかった」というコメントを残したまま、バンコク行きの飛行機に乗った。
何もこれはグランデだけのことではなく、多くの海外アーティストが日本を起点に東南アジアへ向かう途中で韓国に立ち寄る。業界でも相対的に低いギャラのせいで、アジアツアーの日程が確定したアーティストに交渉するのが一般的だ。平日公演が多いのもこのためだ。そのような状況で日本との単純比較は適切ではない。
これについて、公演が良ければそれでいいではないかとする側と物足りなさを吐露する側との立場がきっ抗している。ある公演界関係者は「日本は公演市場規模が韓国の2~3倍に達し、音盤やグッズの販売量が抜きん出ているため、海外アーティストがアジアツアーがない時から訪れて親密度が高い」としながら「過去数年間、トップスターの来韓公演が増えて期待が高まったが、決まったツアーフォーマットを備えたアーティストに個別の特別イベントは強要できない立場」と明らかにした。音楽評論家のイム・ジンモ氏は「来韓公演がアーティストに対するイメージ形成につながる場合が多い」とし「主催者の現代カードがスーパースター来韓公演を一つのブランドとして掲げているだけに、アーティストと十分な疎通を図り、完ぺきな環境を整えなければならない」と助言した。
ただ、韓国のファンがとりわけ情に厚く礼儀に敏感であることを理解してほしい。1回の公演に行くために、一緒に歌うために数カ月間アーティストの全曲を予習し、チケット争奪戦に生き残らなければならないということを。韓国人がアーティストから聞きたい言葉は「韓国愛してます」「キムチおいしいです」ではない。レディー・ガガのように公演一週間前から訪韓してソウルの隅々を歩いたり、コールドプレイのようにセウォル号追慕イベントを準備したりしなくても、アリアナ・グランデだけができる何かがあったはずだ。「テロに屈しない」と叫んだ、芯の強いアーティストがこれほど危険な国に住んでいる観客のために伝えることができるメッセージが。
もう、誰も来なくなるよ、戦争になるからw