平昌めぐる北の傍若無人ぶりに何も言えない韓国政府
北朝鮮が平昌冬季五輪に合わせて派遣する「芸術団」の視察団(計7人)が21日、陸路で韓国入りした。三池淵管弦楽団の玄松月(ヒョン・ソンウォル)団長を代表とする視察団はこの日午前、京義線の道路で軍事境界線を越え、南北出入事務所(京畿道坡州市)に到着した。京義線の道路が開かれるのは2016年2月に開城工業団地が閉鎖されて以降、2年ぶりだ。北朝鮮の視察団はソウルへ移動後、KTX(韓国高速鉄道)で江陵に移動し、公演会場などを視察した。視察団は江陵で1泊し、22日にソウルの公演会場を視察して北朝鮮に戻る。
視察団は当初、20日に来韓する予定だったが、19日夜に北朝鮮が突然、理由の説明もなく視察団派遣を取りやめると通告。1日後の20日にあらためて「21日に視察団を派遣する」と通知してきた。
この過程で北朝鮮メディアは、韓国政府とメディアに対する批判を展開。朝鮮中央通信は20日、韓国政府に対し「対北朝鮮制裁違反などという雑音が飛び交っているが、南朝鮮(韓国)当局があいまいな態度を取っている」と批判した。21日にはほかの北朝鮮メディアも「南朝鮮の各界も、われわれが救援の手を差し伸べていることにありがたみを禁じ得ない」と主張した。
このような傍若無人な北朝鮮の態度に、韓国政府は遺憾表明すらできずにいる。韓国大統領府(青瓦台)と政府はこれまで、平昌五輪を米朝対話のきっかけと考え、非核化交渉へつなげるとの構想を明言していた。そのため、ようやく造成された現在の南北対話の局面を何としてでも維持したいというムードだ。
しかし、だからといってこのような形で北朝鮮のペースに引きずり込まれるのは、今後の対話にもプラスにならないとの指摘が出ている。
尹徳敏(ユン・ドクミン)元国立外交院院長は「北朝鮮が平昌五輪参加を口実に韓国政府に高慢な態度を取り、韓国側が抑え込まれるという形勢になった」として「韓国が多くのことを譲歩し過ぎて、国際社会の対北制裁を台無しにするのではないかとの懸念が出るようではいけない」と指摘した。
北朝鮮が五輪の期間中も主導権を握り、その状態で「核のある平和」を強引に推し進めれば、韓半島(朝鮮半島)の非核化の議論がねじれるというわけだ。韓国統一部(省に相当)も20日、政府の合同業務報告で「北朝鮮は核・ミサイル放棄の意思を全く示していない」と述べた。
イ・ミンソク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版