北の「ノーショー」パレード…助演を引き受けた屈辱の韓国統一部
2018年01月31日10時55分中央日報
北の「ノーショー」パレード…助演を引き受けた屈辱の韓国統一部
来る言っていた客から便りがない。そしていきなり現れて自分が主であるかのように振る舞う。「誰のおかげだと思っているのか」と怒号を飛ばす。最初から祝宴をつぶす勢いでトーンを高めたりもする。
平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)に参加するという北朝鮮の最近の態度だ。
今月初めの「新年の辞」で「南朝鮮冬季オリンピックは同族の慶事」と述べたのは金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の虚言ではないのか疑わしいほどだ。
誰が北朝鮮を大韓民国に対して傲慢・陰険の王国にしたのか。対北朝鮮主務部処の統一部を見てみよう。
統一部で最も「統一」が難しい宿題は何か。部処の職員の間でも話題になるこの質問の答えは皮肉にも「歴代統一部長官」だ。
一カ所に集まるのが不可能に近いためだ。毎年3月1日の創設記念日行事や歴代統一長官招請懇談会はいつも半分だ。保守・進歩性向の元長官らは執権政府の性向に合わせて分裂する。保革を問わず経験を伝授し、前任者を優遇する風土は昔の話になった。「誰々とは共存しない」という形になると、「政権に関係なく持続可能な対北政策を継続する」というのは空念仏になるしかない。
その根は1998年の金大中(キム・デジュン)政権発足からと言える。対北朝鮮太陽政策の推進は、以前の政権までの中道・保守性向路線とは違った。同年11月の金剛山(クムガンサン)観光船初出港と2000年6月の最初の南北首脳会談は南北関係を変えた。金大中政権の初代の康仁徳(カン・インドク)長官から現在の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官まで計14人が16回(林東源・丁世鉉長官はそれぞれ2回就任)を経てその溝は深まった。金大中・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の10年と李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権の9年は対照的だ。先月には特定性向の外部専門家を動員して政策革新委員会という組織を設けた後、「開城(ケソン)工業団地稼働中断」(2016年2月)措置などを積弊として非難したりもした。部処名を掲げて長官が国民に報告した内容が2年も経たないうちに「反統一」という烙印を押されたのだ。
新年に入って統一部はようやく水を得た魚になった。金正恩労働党委員長が「新年の辞」で平昌冬季五輪参加を公言し、対南対話攻勢に拍車を加えながらだ。選手団のほか、応援や芸術公演をする北側の人員が次々と平昌へ向かっている。芸術団の先発隊団長として北側が派遣した女性は「玄松月(ヒョン・ソンウォル)シンドローム」と呼ばれるほど旋風を起こして帰っていった。過剰儀典という批判にもかかわらず、韓国政府は得たものが多いという雰囲気だ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)までが「北の参加は平昌五輪の成功に寄与するだろう」(1月21日の尹永燦国民疎通首席秘書官)という立場を発表した。
しかし「危機の中に機会があり、機会の中に危機がある」という南北関係の格言は外れなかった。伏兵にあったのだ。北朝鮮は平昌行きがあるたびにためらったり手を引くような姿を見せている。
ついに一昨日は南北が来月4日に開催することで合意した金剛山合同文化行事を取り消した。
20日に予定されていた玄松月三池淵(サムジヨン)管弦楽団団長の韓国訪問を前日夜に「中止する」と通知してきたのに続く、もう一つの突発ノーショー(no-show)だ。残りの南北関係日程も問題なく進行するか不確かになった。
状況がこうであるにもかかわらず、統一部の対処は信じがたい。北朝鮮の機嫌を損ねないよう問題提起もしない。「冬季五輪に関連した北朝鮮の誠意ある措置を南側メディアが冒とくした」という北朝鮮の宣伝攻勢を南に広める状況だ。北朝鮮の約束違反よりも韓国の報道を恨むというニュアンスがある。文在寅大統領に「ふぬけた詭弁」「哀れな状況」などと誹謗した北朝鮮国営メディアの報道にも目を閉じる。統一部報道官は「北にもそれなりの事情があるはず」と述べた。文大統領に対する批判世論に反論の防御壁を築いてきた一部の支持勢力も口を閉じる。
北朝鮮が準備中の軍事パレードはブービートラップ(booby trap)だ。五輪開幕前夜の来月8日、平壌(ピョンヤン)の金日成(キム・イルソン)広場を赤く染める秘蔵のカードだ。金正恩委員長が「新年の辞」の原稿を準備しながら精巧に埋設しておいたカードの一つである可能性が高い。毎年4月25日に記念した北朝鮮軍創建日を今年から2月8日に突然繰り上げた点はこうした心証を固めさせる。
にもかかわらず韓国の対応はだらしない。趙明均統一部長官は「偶然に重なったのであり五輪とは関係ない」と話す。青瓦台も「数年前から2・8節を(建軍節として)記念してきた」と強弁する。すべて違う。統一部が年初に出した「2018北朝鮮主要行事予定表」で北朝鮮軍創建日は4月25日となっている。赤い休日の表示はインクがまだ乾いていないように鮮明だ。大規模な軍事パレードは信号弾にすぎない。今後がさらに問題だ。平昌を狙った金正恩委員長の決定打はまだベールに包まれている。軍事パレードで公開する核・ミサイルなどの武器体系は五輪閉幕後に順に威力誇示をする公算が大きい。
悪いクセは簡単には直らない。期待は捨てるのが正しい。場合によっては局面をつぶすこともあるからだ。終盤に平昌五輪に飛び込んだ北朝鮮の主客転倒は想像を超越する。「歴代最悪の人気がない競技大会として記録される冬季五輪に我々が救援の手を差し伸べ、南朝鮮は感謝の気持ちを隠せない」(21日付の労働新聞)という虚しい主張が代表的な例だ。自分たちの「誠意」を無視すれば「祝宴は葬式のようになる」(15日の労働新聞)と脅迫し、数日後には「他人の祝宴に灰をまくな」(25日の労働新聞)として主人の位置を奪う勢いだ。
アルベルト・アインシュタインは「悪に感化される人がいる事よりも、悪を看過する人がいる事の方が危ない」といった。国際スポーツ行事の冬季五輪のために平昌を訪れる客へのもてなしは丁重で暖かくなければいけない。北朝鮮も例外でない。しかし最小限の規範と常識が必要だ。言葉では「開催成功」を云々しながら裏で非難や暴言を吐いてはいけない。強い警告と制裁措置が求められる。
このような現実に目を閉じて大統領と青瓦台の表情ばかり眺めるのは対北朝鮮主務部処の正道ではない。北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の前で頭を下げず、60万人の大韓民国国軍のプライドを刻印したある国防部長官は「頼もしい将帥」と呼ばれた。以前の政府で大統領の意を拒否した文化観光部の局長級は「本当に悪い人」と烙印されたが、結局、信念を持つ官僚となった。来年3月に統一部は50歳を迎える。もう、軸を持つ頼もしい長官、「本当に悪い」当局者の一人くらいは出てくる時期ではないだろうか。
イ・ヨンジョン/統一北朝鮮専門記者/統一文化研究所長