韓国の音源ストリーミング収益額について by 中央日報
http://bloomint-music.com/2014/09/10/column-streaming-revenue-in-korea/bloomint-music2014.9.10
Facebookで複数の韓国人アーティストたちが、とあるニュース記事のリンクを貼っていました。音源ストリーミングにおける収益額の問題提起についてです。今やどの国でも同じことが言えますが、音楽で食べていくことは非常に難しい時代になりました。楽曲制作者だけでなく、演奏家、レコード会社、CD販売店、すべてにおいて言える話です。原因として一番大きく挙げられるのが、インターネットの発達によって蔓延してしまった違法アップロードとダウンロード。それから正規の購入方法といえど、異常に印税が安く設定された音源配信システム。その誘因となっているのが、世界的に主流となったストリーミング配信。
先進国が不況に陥ったのも要因だと考えられます。私自身、ライブを主催してみても感じることですが、まず若い方々にとっての3千円というのがとてつもなく高額になりましたよね。「音楽を聴くことに対する消費者の意識を改革する必要がある」という議論も理解できるのですが、それ以前に、よっぽどの音楽好き・アイドル好き、またはお金に余裕のある人しかCDを買ったりライブに行ったりできなくなってきたように感じます。
結果として、楽曲の作り手にはほとんど収入が入らないという事態になってしまいました。特に韓国ではその傾向が顕著に出ていて、ただでさえ違法ダウンロードが横行している中、たとえ正規にストリーミングサービスを利用してもらったところで、大した収入の足しにはならないという状況です。
記事内に掲載されていた円グラフを下図のとおり日本語に訳しました。2014年9月現在のレートとして10ウォン=1円と見ると、ダウンロード購入の場合の作曲者の収入は、1ダウンロードにつき3円です。ストリーミングサービスの場合は15円と記されていますが、これは100人あたりの金額ですので、1人あたりでは0.15円ということになります。つまり、ストリーミングサービスに楽曲を登録すると、1か月に0.15円しか作曲者に入らないということになります。

右側のストリーミングのグラフの見た目が元画像と少し違いますが、元画像のほうは作詞・作曲者、実演者それぞれ1人あたりの金額をグラフ化しています。それだと合計値である3,000ウォンと整合性が取れなくなるので、私は実数値に基づいてグラフ化しました。なので私が作ったグラフでは、水色、緑、えんじ、赤の4つのデータは100人分の大きさになります。1人あたりの収入は、この100分の1の大きさだと思って見てください。
本文中に「少女時代の場合は1人あたり0.01円」という記載がありますが、単位が小さすぎて逆に分かりづらいくらいですね。0.01円×100=1円なので、100回再生されてやっと1円の収入になるということです。1000回で10円、1万回で100円。1万回が再生されるって、ものすごい成果ですよね。なのに作曲家の印税はたったの100円なんです。
なお、本件に関連する記事を当サイトと私の個人ブログに書いたことがあるので、ご参考までにどうぞ。
特にHuckleberry Pのインタビューでは、アーティスト側の視点を知ることができますので、ぜひともご一読いただきたいです。シン・デチョル氏の話題など、本記事とかぶる部分もあります。インタビュー全体は恐ろしく長いですが、この件については前半の一部のみで触れられていますのでご安心を。
それでは、以下にニュース記事の翻訳を記します。
ストリーミングサービス1曲の利用で「少女時代」1人あたりの収入は0.1ウォン (約0.01円)
http://news.joins.com/article/15757195中央日報(韓国語) 2014.9.7

「2014年の最低時給が5,210ウォン(約521円)。歌手が音源を売ってそれと同じ金額を稼ぐためには、965人がダウンロードしてくれるか、43,416人がストリーミングをしなければならない。こんな程度であるなら、音楽をする理由はあるのか?」
今年4月、ロックグループSinawi(シナウィ)のリーダーであり、韓国を代表するギタリスト、シン・デチョルさん(47)がFacebookに投稿したこの文章が、SNSに乗って広がっていった。シンさんは「あなたの子供が音楽をやると言ったら、止めなければならない」として、創作者に正当な利益が配分されていない音楽業界の実態を批判した。
デジタル音源サービスが、全国民の必須アプリケーションに位置して久しい。バスや地下鉄などの公共交通機関はもちろん、オフィスでもスマートフォンでデジタル音楽を楽しむ。しかし、ミュージシャンにとっての利益が「銭」単位に過ぎないという事実を知っている人は多くない。
その翌日、あるインターネット掲示板に上げられた文章はさらに衝撃的だった。 2002年から2枚のアルバムをリリースしたインディーズバンドのミュージシャンだという匿名の書き込み主は、自身の音源収益の内訳を公開した。
彼は「僕の曲が2曲ダウンロードされましたが、僕には35ウォン(約3.5円)をくれますね。ストリーミング(デジタル再生)の97位で、僕の精算金額は662ウォン(約67円)です」と明らかにした。続いて「創作物をこんなとんでもない流通構造で消費者に普及させたら、一体どのくらいの創作者がこの国で残っていけるのだろうか」とし、「どこから間違ってしまったのか分からないけど、純粋に音楽が好きで一生懸命努力しているミュージシャンに、ふさわしい利益が創出されることができる構造になってほしい」と訴えた。
現在デジタル音楽市場で65%の市場シェアを持っている「Melon」は、SKテレコムのコンテンツ事業から出発した。Melonは他の国に比べて早く根付いた韓国の有線および無線の高速インターネットアクセス網に注目した。
昨年5月、文化体育観光部は値下げ競争を避けるため、月6,000ウォン(約600円)(実際は各種キャンペーンで半額になる)で無制限にストリーミング音楽を聴くことができる「無制限定額制」を廃止した。それでも創作者(作詞・作曲家、歌手、演奏家)の利益は非現実的なほどに少ない。
「生産者」が価格決定に参加できない
創作者の権利問題を水面上に引き上げたシン・デチョルさんは、今年4月から「正しい音源流通協同組合」の設立を推進している。シンさんが投げた問いかけは、「なぜ音楽市場でのみ生産者が価格決定に参加することができないのか?」というものである。
Melonなどの大型音源サイトが代理店手数料の名目で音源収益から持っていく利益比率は、一時期は60%にも達していた。今は40%にまで落ちたが、創作者たちはそれでもまだ高いと主張している。
つまり、消費者が600ウォン(約60円)を出して音楽をダウンロードしたら、制作会社と流通会社が504ウォン(約50円)を差し引いて作詞・作曲者は各30ウォン(約3円)、歌手と演奏者は各18ウォン(約1.8円)ずつ受け取ることになる。
市場の大部分を占めるストリーミングサービスにおける創作者の利益は、より悲惨な状態だ。消費者が月3,000ウォン(約300円)を出して100曲を聴いた場合、1曲ごとの作詞・作曲者1人に入る収益はそれぞれ1.5ウォン(約0.15円)、歌手1人が受け取ることのできる収入は0.9ウォン(約0.09円)に過ぎない。バンドやアイドルグループにおいては1グループで1人と数えられるため、9人で構成される少女時代の場合、メンバー1人がストリーミングサービスを介して1ヶ月に受けることができる収入は0.1ウォン(約0.01円)である。
ここにはデジタル音源市場の落とし穴が表れている。月額ストリーミングサービスを提供する流通会社は、創作者個人と1対1で収益を確保しているように見えるが、消費者が月に100曲を聴けば、100人の創作者と1対100に分割するのだ。つまり、月3,000ウォン(約300円)のストリーミングで100曲を聴いた場合、作曲家・歌手など創作者には合計16%の利益が行き渡るように見えるが、実際は100曲で割った0.16%ずつしか支給されないのである。