渡部暁斗「骨折してなくても結果変わらなかった」言い訳せず。3レースで痛み止め飲み出場し銀メダル
http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2018/ski/20180224-OYT1T50067.html読売新聞 2018.2.24


平昌冬季五輪のノルディックスキー複合個人ノーマルヒルで銀メダルを獲得した渡部暁斗選手(29)(北野建設)が24日、複合の他のメンバーらとともに帰国した。
渡部選手は今大会、左の肋軟骨(ろくなんこつ)を折る怪我を負ったまま3種目に出場。目標だった金メダルは逃したが、「けががなくても、結果は変わらなかった」と言い訳はしなかった。
渡部選手によると、骨折は平昌入りした後の検査で判明した。「ストックワークに影響があった」といい、数日間は距離の練習を回避。レース当日は痛み止めを飲んで出場していたことを明かした。
昨年11月にも練習中に転倒して左肋軟骨を骨折しながら、その後の複合ワールドカップ(W杯)個人戦で優勝していることを挙げ、五輪の結果への影響は否定。「レース中の痛みはなかったし、骨の1本や2本はくれてやるという気持ちで臨んでいた」と振り返った。
怪我の状態はコーチや選手には伝えていたものの、自身の口からは最後まで公言しなかった。2月2日のW杯白馬大会のジャンプ練習で転倒し、左肋骨(ろっこつ)を骨折した。ストックワークをすると痛みがあり、試合直前はクロスカントリーの練習に支障が出たものの、「悔やんだところで骨がつながるわけじゃない」と決してマイナス要因とは捉えていなかったという。
「自分としては言いたくなかった」と明かし、「骨折がなければ金メダルを獲れていたとは思わない。折れたことが言い訳にはならないと思っていた。」と振り返った。
「昨年11月のフィンランド大会でも同じ箇所を骨折して勝っているし、白馬の試合も優勝できているので。怪我自体は結果やパフォーマンスの言い訳にならない」。入念な体のケアを行い、痛み止めを飲んで臨んだ14日のノーマルヒルでは最後まで優勝争いを演じた。
骨折の公表を控えた背景には地元への気遣いもあった。「僕としては白馬大会がネガティブに伝わるのが嫌だったし、大会関係者も(負傷は)大会を開催したせいだと思ってほしくなかった。僕は白馬で大会ができてうれしかったし、見に来てくれた人がたくさんいてうれしかった。ポジティブに捉えたかったので言いたくなかった」。決して周囲に不安を与えまい、という強い覚悟をにじませた。
更に「僕はこういう年齢(29歳)だからいいけど、この報道を見た若い子が無理して試合に出ることが懸念。よい子はマネしないように(笑)」とクギを刺し、「無理をするつもりはなかったし、出られないという判断だったら出場を辞退するつもりだったが、ドクターもOKだったので可能な限り努力した。これはイレギュラーなことで、五輪だったから無理して出た」と“フォロワー”が出ないように強調した。
目標の金メダルには惜しくも届かなかったが、新たな教訓も得た。「物事は自分の思い通りにいかないが、けがをしていても調整方法を工夫すれば結果につながると分かった。常にその瞬間、瞬間に対して最善の選択をすれば結果はついてくると思う」。3月から再開するW杯では総合優勝のチャンスがある。「最後には頂点に立っていられるように、いいレースをしていきたい」。悔しさを抱えながらも、すがすがしく笑った。