他人のうんちで病気を治す…驚きの治療法に注目 大腸に便移植、うつ病やアトピーに効果も

腸内フローラ移植臨床研究会の方式は、ゴム製の管を肛門から10~20センチ挿入し大腸に菌液を注入する=写真はいずれも研究会所属のシンバイオシス研究所提供
他人のうんちを大腸に入れて病気を治す。びっくりするような治療法が既に動きだしている。
⇒【画像】ドナーの便から作る菌液
心身の健康に深く関与することが解明されつつある腸内フローラ(腸内細菌叢(そう))。善玉菌優勢のバランスの良い状態ならば健康維持に寄与する半面、それが崩れると病気や不調を招く。
細菌叢を形成する多様な腸内細菌は、うんちにも混じり、水分を除けば3分の1を占めるという。健常な人のうんちから取り出した腸内細菌を患者の大腸に注入し、細菌叢のバランスを取り戻そうというのが腸内フローラ移植(糞(ふん)便微生物移植=便移植)だ。
腸の疾患だけでなく糖尿病やがん、動脈硬化、花粉症など細菌叢との関連が指摘されている疾病の治療法としても注目され始めた。
米国では既に難治性の腸管感染症の有効な治療法として政府機関が提示。日本では潰瘍性大腸炎の治療に生かす順天堂大などいくつかの大学が2014年ごろから臨床試験に入った。
「以前のように理由もなくふさぎ込むとか感情が突然爆発するようなことがなくなり、自分の中で何かが変わった気がしました」。うつ病の治療で便移植を体験した田中千尋さん(27)=大阪市=は移植後の自身の感覚を思い出す。
留学をきっかけにストレスを抱え込むようになり、疲労感に襲われ、取るに足りない一言に激怒し、予定外の出来事に混乱した。仕事もやめて心療内科に通い、母親の会社を手伝っていた17年6月、便移植に出合った。
移植を担当したのは「腸内フローラ移植臨床研究会」(大阪市)の設立メンバーの開業医だ。研究会は17年に一般財団法人として発足。大学より簡便な便移植の臨床研究を目的にしている。発起人の医師、田中善(よしむ)さん(65)は「実証例を積み上げ、治療法として確立させたい。そのため多くの医師が関わる必要がある」と説明する。
目指すのは「患者の負担がより少ない」かん腸方式。現在の一般的な方法が、便を生理食塩水に溶かし、ろ過した菌液を内視鏡で大腸に注入するのに対して、菌が生着しやすいように特殊な液に便を溶かし、ゴム製の管で注入する。菌液は付属の研究所が、患者の症状に合わせてドナー登録者約80人の便から選択し、ブレンドするという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180405-00010005-nishinpc-sctch