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【社説】文在寅政権下で対米・対中・対日外交は行われているのか
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は8日、中国の習近平・国家主席と会談し、9日も昼食を共にした。2回目の米朝首脳会談を前に、中国に対して自分たちへの支持と支援を要請したのだろう。北朝鮮における貿易のおよそ90パーセントを占める中国と直接話をするだけで、北朝鮮としては米国との交渉で強気に出ることができる。北朝鮮における核開発の最大の被害者となる韓国は本来なら外交に最大限の力を尽くし、金正恩氏と習主席との会談ではその息づかいまで把握しようと東奔西走するのが当然あるべき姿だ。ところが中国との外交で中心的な役割を果たすべき北京駐在の韓国大使は今空席だ。8日に前任の盧英敏(ノ・ヨンミン)氏が韓国大統領府の秘書室長に就任したためだ。盧室長は「仕事は終わらせてきた」とコメントしたが、実際は中朝首脳会談が実施される前に帰国したため、何の仕事を終わらせたのかさっぱりわからない。金正恩氏は昨年6月にも3回目の訪中を行っているが、その時も当時大使を務めていた盧室長は韓国国内の地元で休暇を取っていた。中国は組織の序列を重視するため、たとえ大国の大使であっても中国政府高官に会うのは非常に難しい。実務担当者しか残っていない北京の韓国大使館に外交を行う能力などあるだろうか。
中国は北朝鮮の核開発に賛成しているわけではないが、それ以上にアジア全体の覇権の方に関心が高い。つまり北核廃棄よりも韓米同盟の破棄や在韓米軍の削減・撤収を優先しているのだ。また中国は韓国を自らの思い通り操るため、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を露骨に冷遇し、文大統領が派遣した特使も見せつけるかのように下座に座らせた。しかし韓国政府がこれに抗議したという話も伝わってこない。逆に米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備による対立を収束させるという口実で、THAADについてはいわゆる「三不(米国のミサイル防衛に参加しない、米韓日同盟に参加しない、追加配備をしない)」を文書で確約させた。これも今後の韓国の安全保障に長く悪影響を及ぼすだろう。つまり韓国政府による中国との外交は外交とは言えず、中国の一方的な横暴にただ引きずられているだけだ。そのような中で金正恩氏が中国を訪問したが、前回に続いて今回も韓国大使は北京にいなかった。
米国のトランプ大統領は選挙の時から在韓米軍を資金の観点からしか考えず、何度も「撤退」に言及してきた。1回目の米朝首脳会談ではホワイトハウスのスタッフらと相談もしないまま「韓米合同軍事演習の中断」というプレゼントを金正恩氏に与えた。これも資金がその理由だった。そのトランプ大統領は今も韓国に対して防衛費の負担を大幅に増やすよう要求している。トランプ大統領の性格から考えると、在韓米軍についても何らかの決定をある日突然下す可能性さえ排除できない。しかもマティス国防長官も辞任したため、トランプ大統領を制御できる人間は今周囲に誰もいない。韓国政府の対米外交も本当に問題ないのだろうか。韓国政府が常日頃口にしてきたように、米朝首脳会談さえ開催されれば全ての問題が解決するのだろうか。
日本との外交はもはや危険とも言えるレベルになった。韓日間で起こった「レーダー照準」問題は友好国の間では絶対に起こりえない。対立のプロセスを見てももはや友好国とは言えない。強制徴用による賠償判決も政府間の交渉によっていくらでも解決の方策を見いだせるはずだ。ところが韓国政府は反日感情を隠そうともせず、日本に対しては「やれるものならやってみろ」という態度で臨んでいる。韓国における対日外交の経験者はほとんどがいわゆる「積弊問題」の影響で一線から退いてしまった。今の駐日大使は日本語も話せないため、自らの役割など果たせそうにないという。先日帰国したロシア駐在の韓国大使は特別監察チームに不正疑惑を暴露されたため、目深帽子をかぶったまま仁川空港を通り過ぎた。米国、中国、日本、ロシアの周辺4カ国に対する外交は今や全てが大混乱の状況にあるのだ。
強大国に取り囲まれた韓国は外交によって生き延びていくしかない。外交は道徳ではなく実利の世界だ。韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長は「もうコード(政治的理念や傾向)人事は終わらせるべきだ」とした上で「専門家と実力者を起用しなければならない」と指摘した。中国に駐在する大使の人事からまずはそのきっかけを見いだしてほしい。