朝鮮戦争では、現在の韓国の首都ソウルは何度も“主”を変えている。北の侵攻前は韓国の首都だったが6月25日の開戦から3日後には北朝鮮が占領。約3カ月後の9月に米軍が実施した仁川上陸作戦と反撃攻勢で韓国側の支配地となるが、10月の中国義勇軍の参戦で今度は中国・北朝鮮のものとなる。最終的には米軍(国連軍)が取り返すのだが、数度の戦闘で首都ソウルは荒れ果てた。
敵前逃亡し、首都を廃墟にされた中国軍には恨み骨髄かと思いきや、韓国は中国に謝罪も賠償も求めていない。
こうした敵前逃亡の経緯により、ベトナム戦争では米国の要請により派兵したものの、韓国軍は最前線ではなく非戦闘地域の警備の任務を与えられた。そして、派兵わずか10日後から始まった韓国軍による数々の民間人虐殺はベトナムになお生々しい傷跡を残す。
大統領の信用度
軍隊がモラルを失えば、どうなるのか-。韓国海軍の誇る旗艦の揚陸艦「独島」は2013年、黄海を航行中に発電室で火災を起こし、2基の発電機のうち1基が焼損。残る1基も消火時に水をかぶり全損し、艦は動力を失い漂流した。また10年11月には韓国北西部の延坪島で、韓国海兵隊が長距離自走りゅう弾砲の射撃訓練中に北朝鮮から突然の砲撃を受け、民間人を含め23人の死傷者を出している。韓国側は約80発を応射したが、後の調査では北朝鮮砲台には一発も命中せず、35発ははるか手前の海に落下していたとされる。
空軍では離陸中に空対空ミサイルを滑走路に落し(14年)、海軍のイージス艦が演習で発射したミサイルは目標と反対側の空へ飛ぶ始末(12年)。この実情に最も悩んできたのが韓国の保守派の大統領だ。
06年、左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は韓国内の反米感情を背景に、戦時作戦統制権が自主国防の障壁だとして米国に返還を求め、12年までの返還を求めた。ところが続く保守政権は返還を求めず、朴槿恵(パク・クネ)政権にいたっては事実上の無期延期で米国と合意している。
韓国軍は陸軍約50万人、空軍約6万5千人、海軍約7万人。米国のグローバルファイヤーパワーがまとめた2018年の世界軍事力ランキングで7位なのだが、それでも保守派の歴代大統領は、韓国軍が“独り立ち”できるとの確信を持てなかったのだ。
現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、任期中の20年代初頭の返還を目指しているが…。