金正日総書記死去後3年間大混乱…金正恩空白期には金与正氏が出てくる可能性
国会外統委員長「最近平壌を封鎖、金正恩の身辺に異常ありと判断」
太永浩氏「北が身辺異常説に何ら反応しないのは極めて異例」
今回の「金正恩(キム・ジョンウン)重体説」は、北朝鮮が制裁長期化とコロナ禍で経済難に直面しているところに浮上した。金正恩国務委員長の健康リスクまで加わった場合、北朝鮮の状況は大きな混乱に陥るだろうという見方が持ち上がっている。北朝鮮は、首領一人に全ての権力が集中する唯一領導の体制だからだ。金正恩の健康状態は、すなわち北朝鮮体制の安定性・耐久性と直結することが避けられない。金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)死亡時も、極度の混乱とともに事態急変への懸念が高まった。
■「万機親覧」の金正恩…北の体制を揺るがしかねず
保守系最大野党「未来統合党」所属で、先日の総選挙で当選を果たした脱北者出身の太救民(テ・グミン。本名:太永浩〈テ・ヨンホ〉)氏は21日、「身辺異常説が報道された後、1週間以上たつ現在まで北朝鮮が何ら反応を見せずにいるというのは極めて異例」と語った。太氏はこの日、見解を表明して「北朝鮮は体制の特性上、『最高の尊厳』にけちが付けられるたびに、『最高の尊厳』は健在だという動きを数日のうちに見せてきた」として、このように指摘した。
韓米中の政府当局者らの説明を総合すると、金正恩はすぐに「重体」あるいは「事故」というべき状況までは至っていないとしても、健康問題で休息や治療を必要とする状況だとみられる。金正恩は10日前の今月11日、西部地区航空師団隷下の「追撃襲撃機連隊」を視察するなど、今年に入ってこれまで16回の公開活動に出ていた。週に1度の割合で軍事・経済・政治分野の動きを続けてきた。
健康問題などで金正恩の統治活動が中断したら、北朝鮮の「国家機能」そのものがまひしかねない。首領一人が「万機親覧」する北朝鮮の権力構造上、意思決定権者がいなくなるからだ。例えば金正恩は、建設現場を視察した際、建物の仕上げ材やインテリアについて「細かな指示」を下すこともある。南成旭(ナム・ソンウク)高麗大学教授は「北朝鮮の最高指導者は現地指導を通して北朝鮮を統治するが、これができなくなると権力が動かなくなる」と語った。
かつて、金正日国防委員長が2008年8月に脳出血で倒れて11年12月に死亡するまでのおよそ3年間、韓半島情勢は大きく揺れ動いた。後継者の金正恩に権力が移譲された当時、平壌では権力闘争が激しく、北朝鮮は外部にその混乱を噴出させる様相を呈していた。2回目の核実験(2009年4月)と哨戒艦「天安」爆沈(10年3月)、延坪島砲撃挑発(同11月)などがこの時期に集中した。「天安」・延坪島挑発など南への攻撃は、金正恩が後継者として立地を固め、能力を誇示するために主導した-という見方が支配的だ。
■集団指導体制稼働? 事態急変?
専門家らは、金正恩の空白が長引く場合、取りあえず金与正(キム・ヨジョン)や金正哲(キム・ジョンチョル)など「白頭山の血統」を中心に「集団指導」のメカニズムが作動する可能性があるという見方を示した。情報機関の関係者は「2008年に金正日が倒れたとき、妹夫婦(金敬姫〈キム・ギョンヒ〉、張成沢〈チャン・ソンテク〉)、夫人(金玉〈キム・オク〉)を中心に非常指導体制が稼働したことがある」として「金与正、李雪主(リ・ソルジュ)に注目する必要がある」と語った。
崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長、呉日晶(オ・イルジョン)党中央委部長など、抗日パルチザン2世らの動きも注目される。統一部(省に相当)元官吏のある人物は「彼らは崔賢(チェ・ヒョン)、呉振宇(オ・ジンウ)など北朝鮮の開国功臣の子弟として、北朝鮮の政権にある程度の持ち分がある」として「集団指導体制が稼働すれば、彼らも役割を果たすということがあり得る」と語った。
金正恩がいずれ元気な姿で復帰するとしても、彼の健康問題は引き続き北朝鮮の政権にとって負担になる可能性が高い。30代という若いうちから糖尿や高血圧、心臓血管系疾患に苦しんでおり、こうした健康異常説が繰り返されかねないのだ。
北朝鮮の体制が急変する可能性に備えるべきだという指摘も出ているが、専門家らは、急変・クーデターの可能性は高くないと見ている。国家安保戦略研究院のキム・インテ責任研究委員は「北朝鮮は唯一独裁のシステムが非常に高度化し、さまざまな内部問題は多いが、その不満を爆発的に噴出できないという特性を見せる」と語った。
情報機関の元関係者は「北朝鮮軍は中隊長から軍団長に至るまで、あらゆる指揮官の一挙手一投足が分単位で党(組織指導部)に報告される二重三重の監視網の下にあり、中国など外部勢力が助けてやるべき状況でもなく、クーデターの可能性は高くない」と語った。
逆に、チョ/ン・ソンフン元統一研究院長は「金正恩が初期に残酷な統治を行って内部に敵を多数つくった」として「その反発勢力が、すぐにではなくとも機会をうかがって打撃を与えることもあり得る」と語った。