【萬物相】内部から崩壊する韓国軍
カチューシャ(在韓米軍部隊に配属された韓国軍将兵)所属の2等兵だった時代、米軍将校に敬礼をせず、その将校から大目玉を食らったことがある。その際に将校から「韓国軍は一般の兵卒や副士官同士はよく敬礼するのに、なぜ将校に対しては見て見ぬふりをするのか」と叱られた。米軍関係者は私服のときには将校と副士官たちは友人のように親しく交流するが、軍服を着用すれば将校だけが敬礼を受けることができる。たとえ将校の方が若くても、副士官は「Sir」「Ma"am」として敬意を表さねばならない。これに対して将校は副士官に対して「准尉」など階級で呼び礼儀を尽くす。一見緩やかに見えるときもあるが、公私の区別と互いに対する尊重の姿勢は明確だ。
米軍は1775年、独立戦争の際に陸軍を創設したが、副士官はその当時から編成されていた。米軍の力は武器よりも副士官から出てくるともいわれる。彼らは新参の将校に代わって兵士たちを統制し訓練する。第1次大戦と第2次大戦、さらにベトナム戦争などを経て将校と副士官の関係がいかに重要かを痛切に理解したのだろう。2019年には軍の序列1位となる合同参謀議長を補佐する合同参謀主任曹長の階級章に星四つを入れることになった。将校と副士官の差を縮めるという意味だ。
これに対して韓国軍は正反対だ。一部の初級将校たちが叔父のような元士(曹長)にため口を使い、一部の古参副士官は新任の将校に敬礼もしないという悪習が今も残っているという。現政権発足後、4人の副士官が若い男性将校にセクハラを行った容疑で身柄を拘束された。年長の男性副士官たちが若い女性将校にセクハラを続けていた問題も表面化した。逆に将校と副士官の仲が良すぎることもある。ある大尉と下士が部隊の待機指針を破り、一緒に遊興施設で遊んでいたところ二人ともコロナに感染した。軍の綱紀が全体的に緩んでいるのだ。
先日一部の副士官たちが現職参謀総長の発言を問題視し、国家人権委員会に陳情書を提出する事態が起こった。昨年12月に陸軍参謀総長が主任元士たちに「年齢で生活する軍隊はない」「将校と副士官に尊敬語を使用する文化は感謝すべきだ」とした発言が、人格権を侵害したというのだ。「将校はため口を使ってもよい」という意味の陸軍参謀総長の発言も、正式な手続きを無視した一部副士官たちの行動もどちらも不適切だった。
2017年に板門店で北朝鮮軍副士官が帰順する際、雨のように降り注ぐ銃弾の中で彼を救出したのは二人の中士(准尉)と中領(中佐)だった。実戦の状況で命を懸けるのは最終的に将校と副士官だ。敬礼やため口を問題視する暇などないはずだ。つい先日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は「実戦に使用できる戦術核兵器を製造する」と公言した。戦術核を搭載する弾道ミサイルはすでに完成している。射程距離500キロの核ミサイルは誰を狙ったものだろうか。今の政権が叫び続ける「平和」という言葉に韓国軍も洗脳されているのだろうか。敵による核の脅威の前で内輪もめを続ける軍隊は韓国にしかないだろう。
アン・ヨンヒョン論説委員