【李栄薫】(2)「事実を事実のまま伝える」という信念のもと、この本(「反日種族主義」)を書かれたと聞いています。
韓国の経済史を研究してきた。日本が支配した1910年から45年にかけ、韓国の社会や経済に重要な変化が生まれた。日本経済の一部として、日本と同じ速度で成長した。(朝鮮)総督府が韓国の土地や食糧を収奪した事実も誇張されたものだと主張した。
私は1990年代初めからこのような主張を始めた。新しい創意的な主張だと思ったが、考えられないような批判を浴びた。テレビが討論会での私の主張を報道すると、私を非難する電話や手紙が数万件にのぼった。大学のキャンパスに直接やってきて非難する人も現れた。「私が知っている祖国ではない」と思った。
ごくわずかの記者は理解を示してくれたが、主要メディアは、私と、私と同じ主張をする同僚たちを「歪曲した主張」と攻撃するか、沈黙した。公開の席で私の主張を支持した政治家は一人もいなかった。支持すれば、次の選挙で落選するからだ。
孤独な主張だったが、良い変化もあった。「反日種族主義」は国家体制の深刻な危機を懸念して書いたものだが、約12万冊が売れる異例のベストセラーになった。
韓国の歴史教科書には1960年代から「土地の40%が日本に収奪された」「日本は、韓国のコメの半分を持っていった」という記述があった。多数の国民がそう信じてきたが、本によって歴史教育がでっちあげされた事実だと知った。近年では教科書から、こうした記述がなくなった。「私の主張が変化を促した」と自負している。