少女時代「Gee」、KARA「GO GO サマー!」……過去曲がTikTokで再ブーム 若者が“#韓国懐メロ”で踊る理由
8/15(日) 11:27配信
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リアルサウンド
少女時代「Gee」
最近TikTokで「#韓国懐メロ」というハッシュタグが人気上昇中だ。視聴回数は3億5000万回以上(8月10日現在)。2010年前後のK-POP楽曲に合わせたダンス動画が次々とアップされている。日々絶え間なく新曲がリリースされている中、あえて一昔前のK-POPで踊る10代、20代ーー個人的にも大変興味深い現象である。
【写真】美脚ダンスで一世を風靡した少女時代
「Gee」はもう懐メロ?!今の10代を踊らせる10年前のK-POP
中でもダントツで使われている曲は少女時代の「Gee」だ。TikTokフォロワー数39万人の姉妹「ゆりめり」もカバーを投稿し、音楽ストリーミングサービス「AWA(アワ)」が選んだプレイリスト「HOT SONG(7月)」の1曲目にも選ばれている。「Gee」は少女時代が名実ともに韓国のガールズグループの頂点に立ち、また日本でブレイクするきっかけにもなった代表曲である。カラフルなスキニーパンツを着て踊るMVも話題となり、K-POPアイドルとして初のYouTube再生回数1億回を記録。日本における「第一次K-POPブーム」の象徴でもあった。
TikTokで「#韓国懐メロ」で検索すると「MR.TAXI」など少女時代の別楽曲や、同時期に活動していたKARAの「GO GO サマー!」、Wonder Girls「Nobody」のダンスカバーも目にする。当方、30代の古参K-POPファンとしては「すでに懐メロなの?!」と少々ショックを受けたものの、「Gee」のリリースは2009年(日本語版は2010年)。「GO GO サマー!」に関しても2011年と、10年以上の歳月が流れている。おそらく今の高校生や大学生にとっては幼い頃に聴いた“初めてのK-POP”なのだろう。そんな「懐メロ」と認めざるを得ない楽曲が今、日本で再ブレイクしている理由は何だろうか。
BTSやBLACKPINK、NCTなどの活躍によりK-POP人気が持続しているというのは大前提として、SpotifyなどサブスクリプションサービスやYouTubeで簡単に過去の曲やMVにアクセスできるという点は大きい。前述した「Gee」や「Nobody」はK-POPを“ディグって”いくと必ず出会うレジェンドソングだ。今の“推し”を追っているうちに偶然辿り着いた人、TikTokを通じて初めて聴いた人もいるかもしれない。『PRODUCE 48』や『Nizi Project』など近年のオーディション番組で課題曲として使われたり、若手アーティストがカバーすることで改めて発見されるパターンもあるだろう。
そして2010年前後のK-POPは思わず口ずさんでしまう、真似して踊ってしまうキャッチーでポップな名曲が豊作だった時代でもあった。「Gee」「Nobody」もその良例だ。インパクトを重要視していた時代だったとも言えよう。一方、世界のスターとなったBTS、BLACKPINK、最先端のスタイルを追求するNCTなどを見ても、2021年のK-POPは世界の(特に欧米の)最新トレンドに乗った楽曲が多く、歌詞も親しみやすさよりメッセージ性を重視。必ずしも“誰もが歌えるキャッチーさ”を目指していない印象を受ける(BTSの「Dynamite」は全てを兼ね備えたモンスター曲ではあるが)。
振り付けに関しても「Gee」のダンスは、当時韓国のバラエティ番組でも多くのタレントが真似をし、日本でも中居正広が『SMAP×SMAP』でカバーダンスを披露していたほど“真似させる力”を持っていた。そして特徴的な脚を使った振りは縦型の動画向き、つまりTikTokとの相性も抜群である。
余談ではあるが、韓国でも昨年より「懐メロブーム」が来ている。地上波テレビ局・SBSが運営するYouTubeチャンネルで配信中のバラエティ『文明特急 - MMTG』が火付け役だ。2010年代に活動していたアイドルを招き、当時のヒット曲の魅力を再発掘するコーナーが若い世代に刺さり「スムドゥンミョン(隠れて聴く名曲)」という流行語まで誕生した。「隠れて聴く=おおっぴらに聴くのは恥ずかしい」というやや失礼な(?)ニュアンスも含みつつ、古い曲だと忘れ去るには惜しい楽曲が多数あるということの裏返しだろう。
過去曲も蘇らせる、SNSのパワーと独自の影響力
SNSが独自の影響力を持ち、時にアーティスト側や既存メディア以上の拡散力を持ったことも「K-POP懐メロ人気」の最大の要因だと思われる。アーティストの所属事務所やレーベルが意図しないところで、PR期間を過ぎた曲が再び話題になる例は少なくない。「懐メロ」と呼ぶには新しいが、TWICEが2018年に発売した「What is Love?」もTikTokで再び人気急上昇中だ。そんな動きを受け、TWICEメンバー本人たちもセルフカバー動画をUPしている。リリース直後や活動期間を過ぎれば、曲の鮮度も価値も急降下してしまう時代を思い返すと、TikTokをはじめとしたSNSはアーティストやクリエイター、楽曲にとって救世主なのだろう。今やクリエイティブの寿命を延ばし、息を吹き込んでいるのは企業側ではなくSNS上の若者たちなのだ。
これからも「今になってあの歌が?」という再ブレイクソングが出てくるはず。私のプレイリストにある「隠れて聴く名曲たち」もいつか「見せて踊る曲」になるのでは? と期待している。