中国、ドイツ軍艦の上海寄港を拒否
米国のインド・太平洋構想に合流するドイツ海軍の南シナ海通過をけん制
中国政府が、ドイツの軍艦の上海寄港要請を拒絶した。中国国営の「環球時報」が16日、ドイツ政府の発表を引用して報じた。先にドイツは、米国との訓練のため20年ぶりにインド・太平洋方面へ自国の軍艦を派遣すると決定し、同時に「中国に対抗する意図はない」ということを示そうと、中国政府に上海寄港を要請していた。
「環球時報」によると、ドイツ外務省報道官は15日、取材陣に対し「中国が、ドイツの駆逐艦『バイエルン』の(上海)寄港を望まないと決定した」と明かした。「バイエルン」は先月2日にドイツを出発し、スエズ運河を通過してインド、オーストラリア、シンガポール、日本などを順次訪問している。中国が周辺国と争いを起こしている南シナ海も通過し、米国と合同訓練も実施する予定だ。ドイツ軍は「インド・太平洋においてわれわれと価値を共有する国々の側に立つことは重要」としつつも「ドイツは南シナ海で対決を助長する計画はない」と表明した。
香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」(SCMP)によると、ドイツ政府は今回の航海を推進するに当たり、最終局面で中国側に「上海に寄港したい」という意向を伝えた。今回の航海が中国を刺激することを懸念したアンゲラ・メルケル首相の意向を反映したものと解釈されている。上海に寄港すれば、ドイツの軍艦が南シナ海に入る名分も生じる。また「バイエルン」は、台湾海峡は通過しないことが分かった。ドイツのメルケル政権は、欧州における米国の中心的同盟国だが、英国とは異なり中国との関係を重視している。
SCMPは「中国がドイツの要請を拒絶したことで、『バイエルン』のインド・太平洋航行に伴う緊張を上海寄港で緩和しようというドイツの希望は打撃を受けた」と伝えた。加えて今月、ドイツ総選挙の結果に伴ってメルケル氏は16年務めた首相ポストから退き、新首相が就任予定という状況下、両国関係における不確実性が高まったという評価が出ている。中国紙「環球時報」は、今回の決定について「ドイツが投げ掛けるメッセージは混乱しており、ドイツの意図を見分け難いと(中国当局が)判断したものとみられる」と報じた。