「怪物ICBM」北の脅威強まるが…韓国軍の天弓・パトリオットは発射失敗

3日、空軍は前日の「誘導弾射撃大会」でパトリオット(PAC-2)迎撃ミサイル1発を装備のエラーで発射できず、国産中距離誘導武器「天弓」が飛行中に爆発したと明らかにした。写真は先月27日に護国訓練の一環として「戦区弾道弾対応訓練」を実施した当時のパトリオット砲台。 写真=空軍
3日、空軍は前日の「誘導弾射撃大会」でパトリオット(PAC-2)迎撃ミサイル1発を装備のエラーで発射できず、国産中距離誘導武器「天弓」が飛行中に爆発したと明らかにした。写真は先月27日に護国訓練の一環として「戦区弾道弾対応訓練」を実施した当時のパトリオット砲台。 写真=空軍
北朝鮮が3日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を短距離弾道ミサイル(SRBM)2発と混ぜて発射した。前日に休戦以降初めて北方限界線(NLL)南側の海上にミサイルを発射した北朝鮮は、翌日、米国本土を打撃できるICBMを取り出した。軍当局は「火星17型」(射程距離1万3000キロ以上)と推定した。韓米の戦略資産F35ステルス戦闘機など軍用機240機が動員された大規模な連合空中訓練(ビジラントストーム)が実施されている中でだ。
梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「北が戦術核実戦能力を誇示しながら韓日米に同時に圧力を加えている」とし「韓米の強力な資産が動員された連合空中訓練状況であるにもかかわらずこのように緊張を高めるのは、打撃『能力』と撃つという『意志』を同時に見せるためだ」と述べた。
合同参謀本部によると、北朝鮮は3日午前7時40分ごろ平壌(ピョンヤン)順安(スンアン)一帯から東海(トンヘ、日本名・日本海)上にICBM1発を発射した。続いて午前8時39分ごろから平安南道价川市(ケチョんシ)一帯から東海上にSRBM2発を相次いで発射した。
北朝鮮が発射したICBMは約1920キロの高度で約760キロを飛行したと、韓米軍当局は把握した。速度はマッハ15(音速の15倍)程度だった。ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)外側に落ちたことが分かった。
北朝鮮が発射したSRBM2発は約70キロの高度で約330キロ飛行したと、韓国軍の合同参謀本部は明らかにした。軍消息筋は「これらミサイルはやや離れた場所から発射されたが、2発のミサイルともに北が普段からミサイル標的に使う東海上の無人島アル島(咸鏡北道吉州郡)に向けて発射したと把握している」と話した。
◆「推進体分離後に非正常飛行」
ただ、軍当局は探知情報に基づき北朝鮮が発射した火星17型は失敗したと評価した。軍消息筋は「ミサイル発射以降、推進体2段分離まで終えたが、その後は正常に飛行しなかった」とし「速度も通常の水準(マッハ20程度)に達しなかった」と説明した。
この日、日本防衛省は当初、「ミサイルが日本上空を通過した」と誤って発表したことに関し「日本海上空でレーダー上(ミサイルが)消失したことが確認された」と釈明した。北朝鮮が発射したICBMが正常な弾道軌道を飛行しなかった可能性があるということだ。
火星17型は2020年10月10日に労働党創建75周年記念軍事パレードで初めて公開された後、西側専門家の間で「怪物ミサイル(monster missile)」と呼ばれた。移動式発射台(TEL)から発射できるICBMのうち世界で最も大きいからだ。
北朝鮮は韓国大統領選挙直後の3月16日に火星17型を発射したが、高度20キロ未満の初期段階で爆発した。その後、北朝鮮は3月24日にまたICBMを発射した後、翌日に「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の命令で新型ICBM『火星17型』を試験発射した」とし、写真と映像まで公開した。
しかし当時、軍当局はこうした北朝鮮の宣伝を虚偽とし、「北が実際に発射したミサイルは火星15型改良型」と評価した。これに関し政府関係者は「非現実的に見えるほど巨大な火星17型の開発が順調でないのかもしれない」と指摘した。
◆「ビジラントストーム」訓練延長
一部では「今回の発射を失敗と決めつけることはできない」という分析もある。ミサイル専門家のクォン・ヨンス元国防大教授は「ミサイル発射後に段分離がまともに進行したとすれば必ずしも失敗と見ることはできない」と述べた。続いて「北が固体燃料を使用するコンパクトな新型ICBMを開発するために今回の試験発射をした可能性がある」とし「北が公開発表をしてこそ正確な分析が可能」と話した。固体燃料ミサイルは液体燃料ミサイルより発射準備時間が短く、韓米軍当局による事前兆候の把握が難しい。
匿名を求めた軍関係者は「北が今回の試験発射でミサイルの完成度でなく、別の目標を持って意図した通りに発射したのかもしれない」とし「綿密な分析が必要だ」と述べた。
前日、軍は北朝鮮が発射したミサイルが北方限界線(NLL)の南側に落ちると、空軍戦闘機を出撃させてSLAM-ERなど精密打撃が可能な空対地ミサイル3発をNLL北側の公海上に発射した。一種の「比例対応」だった。しかしその後、北朝鮮側は東海・西海(ソヘ、黄海)で数発のミサイル発射と約100発の砲撃を継続した。
これに対し軍当局は当初4日までの予定だった今回の連合空中訓練を延長するカードを取り出した。韓米空軍はこの日、「北の挑発で高まった現安保危機状況で韓米同盟の堅固な連合防衛態勢を顕示する必要がある」とし、訓練延長計画を明らかにした。今回の訓練延長は、韓米外交安保協議(SCM)出席のため訪米中の李鐘燮(イ・ジョンソプ)長官のICBM関連報告を受けた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が直接指針を下し、李長官がオースティン国防長官およびマーク・ミリー合同参謀議長とのSCM夕食会で提案して電撃的に決定したという。
軍関係者は「北の挑発の推移を見守っている状況であり、いつまで訓練を延長するかはまだ決まっていない」と話した。
◆パトリオット撃てず、天弓は爆発
北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル脅威の中、軍の防御能力も試されている。空軍は2日に開かれた「誘導弾射撃大会」(忠南保寧の大川射撃場)でパトリオット(PAC-2)迎撃ミサイル1発を装備のエラーで発射できず、国産中距離誘導武器の天弓は飛行中に爆発したと3日、明らかにした。
空軍は前日までこうした事実を公開せず、この日に関連報道が出ると釈明した。空軍関係者は「PAC-2は2発を発射する計画だったが、2発目を発射する直前にレーダーのエラーが発生して射撃を中止した」と伝えた。
天弓の発射失敗に関しては「発射後10秒間ほど燃焼して海上に約25キロほど飛行したが、レーダー交信が不安定になって空中で自爆した」と説明した。そして「天弓の発射失敗は今回が初めて」とし「細部の原因について調査中」と述べた。
先月4日に玄武-2C地対地弾道ミサイル落下事故が発生したが、1カ月ぶりにまたミサイル発射失敗事例が出てきたのだ。
軍内外では「北のミサイル挑発が強まる状況で、これまで放置されてきた武器開発と運用の問題点が表れている」という指摘が出ている。クォン・ヨンス元国防大教授は「国産武器開発検証過程に問題がある」とし「試験場所の制約で開発機関(国防科学研究所)が試験評価までもする現体制では客観的に検証されていないため、幅広い分野の専門家が参加して検証するなど対策を用意しなければいけない」と話した。
各種ミサイルの射撃回数を増やすべきだという声も出ている。峨山政策研究院のヤン・ウク副研究委員は「ミサイル開発だけでなく、運用の過程で実際の射撃を繰り返さなければいけない」とし「そうしてこそ早期に問題点を把握し、性能も改善することができる」と話した。