警察が“ウソだらけ”の報告に口止め「梨泰院」雑踏事故の失態が明らかに…追悼集会では国民の怒りを政治利用
FNN 2022/11/09 18:25
虚偽報告に口止め、証拠隠滅…韓国警察の失態が明らかに国民の怒りが日に日に高まる中、この怒りを利用しているかのような動きも出始めている。現地で雑踏事故の取材にあたってきた、FNNソウル支局の熱海吉和記者が伝える。
韓国警察は状況を甘く見ていた
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
今回の事故をめぐっては事故直後から警察や行政のずさんな対応が指摘され、事前の対策・準備さえできていれば十分に防げた人災だった。そんな声が聞かれます。警察が警察を捜査する事態にまで発展し、続々と不祥事が明らかになっています。これまでにわかっているものをまとめました。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
まずは、通報に対する初動対応です。警察には事故が起きる約4時間も前から緊迫した現場の状況を訴える通報が11件寄せられていました。内容は「圧死しそう」「今にも大きな事故が起こりそう」といったものなど切実なものでした。しかし、警察が出動したのはわずか4件とされています。また、現場に到着した消防隊員から警察への出動要請が29回もあったということなのですけれども、警察がすぐに対応していないことが新たにわかっています。いかに状況を甘く見ていたかが分かるかと思います。
虚偽報告に口止め、徹底した証拠隠滅
榎並大二郎キャスター:
国民を守る立場であるはずの警察、今回のこの初動対応には疑問が残ります。梨泰院を管轄する警察の当時の署長の行動も問題視されていますよね。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
こちらはFNNが入手した、事故後につくられた地元警察署の報告書です。報告書で前署長は事故が起きた約5分後に現場に到着したとされています。しかし、捜査が進む中で、前署長が現場に到着したのは、事故発生から約1時間後、午後11時過ぎだったことがわかっています。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
現場から1kmほど離れた場所に設置された、防犯カメラの映像です。時刻は午後10時59分。現場にいるはずの前署長の姿が捉えられていたのです。つまり、先ほどの報告書の内容が嘘だったことになります。しかも、時間的に事故の報告を既に受けていると思われるのですが、焦る様子はなく、手を後ろに組んでゆっくり歩いているのがわかります。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
韓国メディアはほかにも虚偽の報告があったと報じています。前署長は事故直後に「警察官の投入を無線で指示した」とされていたのですけれども、「前署長から非常招集を受けたのは午前0時過ぎだった」とする現場所員の証言が出てきているというのです。前署長はすでに更迭されていますが、業務上過失致死傷などの疑いで捜査が進められています。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
ほかにも、地元警察署が事故が起きる3日前に作成していた「ハロウィーンの人出で事故の懸念がある」とする内容の報告書が事故後に削除されていたこともわかりました。この削除を指示した人物がいて、報告書を作った担当者のPCにある原本まで削除するよう指示をしていたというのです。さらに「報告書の作成事実をどこにも知らせてはいけない」と口止めもあったということです。証拠隠滅の徹底ぶりがうかがえます。
韓国では国全体が“追悼ムード”に
榎並大二郎キャスター:
保身といいますか、不都合な事実を隠そうとしている。そんな印象も受けるわけですけど、今回のこの事故から1週間以上が経ちましたが、国内の雰囲気、空気はどうなっていますか。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
事故現場を訪れる人は今も後を絶たず、国全体が追悼ムードに包まれていると言えます。こちらの映像は11月5日に開かれた追悼集会の様子です。主催者発表では、数万人が参加したとされています。参加者の多くは、韓国の平和のデモの象徴のろうそくを掲げて犠牲者を追悼しました。
追悼集会の参加者たちからは、このような声が聞かれた。
追悼集会の参加者:
今回の惨事で政府が自分の安全を守ってくれないことが分かった。
追悼集会の参加者:
事故の原因・真相究明を隠さず最後まで明らかにすべきだ。
追悼集会なのに大統領の退陣を求める声
榎並大二郎キャスター:
追悼の中に静かな国民の皆さんの怒りが伝わってきますけれども、これだけの人が集まるのは、それだけ今回の事故が韓国に与えた衝撃。それだけ規模が大きいということを物語っているように思いますがいかがでしょうか。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
その通りではあるんですけれども、ここで注目の裏情報がこちら「事故を早くも政治利用?」です。先ほどの集会の別のシーンをご覧いただきたいんですけれども…。
追悼集会の参加者たち:
尹錫悦(大統領)は退陣しろ!退陣しろ!退陣しろ!
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
追悼集会のはずなのですが、尹大統領の退陣を求める声が多く上がったのです。実はこの集会の主催団体、以前から尹大統領に対する抗議行動を定期的に行っている革新系の団体です。今回開かれた集会についてテーマは追悼としているのですけれども、こんなパネルが現場では掲げられていまして「退陣が追悼だ」と書かれているんです。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
警察などの対応に怒りを持っている人というのがいるのは確かなのですけれども、今回の集会を見たところ、純粋に犠牲者を追悼したい。そんな気持ちで集まった人たちを集めて、現政権への批判につなげたい。そんな狙いが透けて見えてくるのです。
責任追及で現政権を攻撃…市民は“政治化”に怒り
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
さらに、野党による事故の責任追及も日に日に過熱していると感じます。韓国では、8年前(2014年)にも300人を超える犠牲者を出したセウォル号沈没事故がありました。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
初動の悪さが連日取り上げられ、当時、野党だった革新勢力は、朴槿恵元大統領の当日の行動の詳細がわからない時間を“空白の7時間”だとして攻勢を強め、事故後は政権の支持率が10%以上急落するなど、当時の政権としては大きな打撃となったのです。その後、この事故が直接的な要因ではないのですが、韓国憲政史上初となる大統領弾劾につながっていくわけです。現在の野党による追及は、そんな政局を再び作り出そうとしている。そんな見方もすることができます。
FNNソウル支局・熱海吉和記者:
追悼を優先する市民からは「事故を政治化するな、お願いだから追悼するだけにして」といった声が上がっています。いずれにしても、この多くの犠牲者を出してしまった事故。なぜ起きてしまったのか。同じ悲劇を繰り返さないために何が必要なのか、国が一丸となって行動する。そういった対応が今何よりも求められていると感じます。