【第31回】大学大淘汰時代の韓国(上)(流通経済大学法学部教授 尹敬勲氏)
2024年01月15日韓国の大学が大淘汰時代を迎えている。日本の大学政策を参考に拡大期を迎えたものの、予想を上回る少子化の進展で縮小に向かわざるを得ない状況に陥っているのだ。その一方、ソウルへの一極集中と、医学部をトップとする序列化は依然として根強い。ソウルの医学部進学を目指す受験戦争は苛烈を極め、他大学に在籍しながら合格をめざす「仮面浪人」が過去最多の約9万人にも上るという。少子化と首都一極集中、地域間格差……立ち塞がる壁を乗り越えて生き残り、なおかつ社会に貢献できる大学はあるのだろうか。韓国の大学の姿は日本を映す鏡のようでもある。日本の大学の明日を占うヒントとすべく、韓国の大学事情に詳しい尹敬勲氏に現状を聞いた。
ソウル以外は「廃校ドミノ」
──韓国で、つぶれた大学のキャンパスを訪れるYouTube動画が人気を集めていますね。整然としたキャンパスに学生が一人もいない韓国の大学が次々に映し出されている動画です。驚いたのは再生回数。一〇〇万を超える動画も結構ありました。受験生とその親でしょうか。
尹 大学進学率は七割を超していて、当然、受験生やその親は、次はどこの大学が潰れるか、心配でしょう。それだけではなく、不動産関係者も強い関心を寄せています。大学が潰れれば、地域経済を直撃し、不動産価値が下がるからです。
──YouTube動画で繰り返し強調されていたのは「地方全滅」でした。第二の都市、釜山でさえ生き残りが厳しい状態だとか。ソウル以外は難しいと見ていいのでしょうか。
尹 そうですね。地方はピンチです。地方大学は、周囲に何もない土地にポツンと建つところから始まります。大学ができると、農家が自分の土地に賃貸アパートを建てます。その後、娯楽施設、インターネットカフェやカラオケ、飲み屋などができて街らしい景色になっていきます。
ところが大学がつぶれると、娯楽施設は潰れ、アパートも借り手がなくなり、空き部屋だけになります。
──それで町が消えて行くわけですね。「廃校ドミノ」とも言われているとか。
尹 この一〇年間で二〇大学が廃校しました。二〇二三年秋にも釜山から車で一時間半ぐらいかかる晋州で韓国国際大学が倒産しました。執行部の経営が良くなかったようです。大学周辺の店は潰れたようです。空き部屋ばかりになった賃貸アパートには、外国人労働者が入ってくるんです。