さて今月の月刊誌VOICEは日本企業の成長戦略が特集になっている。
その多くの部分にサムソンについての解説が載っている。
その中のひとつに経済ジャーナリスト財部誠一氏の論文があるので一部を抜粋してみる。
『(IMF経済)危機を契機として韓国は国がリードして国家戦略を打ち立てるという明確なシフトを行った。
ちょうどシンガポールが政府リードで産業を育成したようにサムソンとLGの2社に総合家電・電子部品
メーカーを整理し競争力を高めるやり方を採ったのだ。国内マーケットのなかで同質的なメーカーが
乱立しお互いの市場を食い合ってデフレを加速している日本とは逆の方向である。
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ところが電子化の世界は違う。中身は皆同じになるからモノ自体の品質は問われない。
大事なのはデザインとコストだけでその典型がパソコンである。テレビとカメラといった
他の家電製品も同じ方向に向かった。
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その分野を強化するためにサムソンが行ったのは、日本のエレクトロニクスメーカーの
技術者を引き抜き、あるいは中小エレクトロニクスメーカーの買収だった。
日本の技術者がサムソンを訪ねたら、知り合いが出てきたというのはよく聞く話である。
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事実いまでも技術だけをみれば日本メーカーのほうが優秀だろう。韓国の貿易収支をみると、
他国には多額の貿易黒字を出しているみのかかわらず日本には赤字である。
部材も部品も日本から大量に買っているからで、それらを組み立てて外国に輸出しているのだ。
極端な話、自分では何もつくれないといえるのかもしれないが、それを蔑むのは
引かれ者の小唄である。
私が直接サムソンのある幹部から聞いた話が象徴的だ。
「私は日本製の携帯電話をもっているが、質感から機能まで申し分ない。素晴らしいでき栄え
だと思います。サムソンの携帯は日本の部品を使い日本の技術を応用しているから
がんばっても日本製の85%程度のクオリティの製品しかつくれません。
しかし、われわれは日本製の定価の75%で販売することができる。この10%こそがサムソンの
優位性です」
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日本の特徴である自前主義や総合化のほうが時代遅れになっているのだ。自前ですべてを
研究開発し生産ラインまでつくっていた日本のやり方ではコストもかかるし変化の速さに
付いていくとこができない。
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サムソンをはじめとする韓国企業が凄いのはそのような他人の部品を使って生産するノウハウを
確立させていることだ。
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日本企業が草食化した背景にはこれまで新興国に頼る必要が無いほど国内マーケットが
大きかった事情も関係しているだろう。・・・・・・・・翻って韓国の場合もともと国内マーケットが小さい。
GDPは日本の15%程度で、その市場だけを相手にしていても産業として成り立たない。
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アライアンスを組む筆頭に挙げられるのが台湾企業ではないかと私は思う。じつはサムソンを
代表する韓国企業と対極的な位置にいるのはソニーやパナソニックなどの日本メーカーでは
なく台湾の家電メーカーなのだ。・・・・・台湾企業と韓国企業が決定的に違うのは韓国企業が
国策至上で動いているのに対し今日に至るまで台湾企業は完全に競争原理で動いていると
いうことだ。
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日本も台湾企業と組むことで資金調達を彼らに任せる。あるいは台湾や香港など資金調達
しやすい国に会社をつくりそこで上場を行ってさらなる資金を集め大規模工場をどんどん建てる。
日本の十八番である商品の完成度や作り込みのレベルを上げることも大事だが、いま問われる
べきは事業自体のスピードである。台湾企業との連携によってそのスピードを加速することが
できるのだ。
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そもそも台湾は非常に親日的である。いまだアンケートで世界一好きな国はと尋ねれば
断トツ1位は日本だ。その割合は50%。2位のアメリカが8%である。これはまさに日本にとって
財産だろう。』