【書評】『日韓がタブーにする半島の歴史』室谷克実著
2010.5.29 08:15
■「常識と通説」疑う記者魂結実
日本は、朝鮮半島の人民から、稲作をはじめとするさまざまな先進文化を教わり、国の基礎をつくった-。
多くの日本人が信じて疑わない「歴史の常識」を、著者は完全に否定します。
それどころか、半島初の統一国家、新羅の基礎づくりを指導したのは、実は倭人・倭種であり、新羅も百済も倭国のことを文化大国として敬仰していた-というのです。
正直に白状すると、原稿を読み始めたとき、「そんなバカな」と思いました。
しかし、これらはすべて『三国史記』という半島最古の正史や、中国の『隋書』といった、当時の国が公式に編纂(へんさん)した歴史書に記載されていることです。
日本でいえば、『古事記』や『日本書紀』にあたる書物ですが、これらを精読している人は、いまや韓国にもほとんどいません。
感情的になることなく、冷静かつ丁寧に史書を読み解いていく筆致は、説得力抜群です。
なぜ、このような大事なことを学校は教えてくれなかったのか、と思いながら読んでいくと、その疑問にも明快に答えてくれます。
著者は、時事通信社ソウル特派員時代の経験を元に1987年、『「韓国人」の経済学』という本を出し、当時「昇龍」と賞された韓国経済の脆弱(ぜいじゃく)な実態を暴いて話題となりました。
本書は当初、現在の2倍以上の分量がありました。無理をお願いして半分にしてもらったおかげで、実に濃密な内容となりました。絶えず「常識と通説」を疑ってかかる記者魂が結実した一冊です。(新潮新書・756円)
新潮社「新潮新書」編集部 内田浩平
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100529/bks1005290819002-n1.htm