ゲーツ米国防長官の中国訪問を中国軍部が拒否した。6月上旬のことだ。ゲーツ長官は怒っているだろう。
国家安全保障会議(NSC)のべーダー・アジア上級部長も怒った。「中国の軍人は中国人エリートのなかでも、
いちばんイナカモノ、いちばんゼノフォビア(外国人恐怖症)だ」と言った。イナカモノも相当だが、
欧米人にとって「ゼノフォビア」は義和団のような野蛮人という、中国人に対する最大級の悪口だ。
関係が悪くなった直接の理由は、横須賀を母港とする米原子力空母、ジョージ・ワシントンの動きだろう。
韓国哨戒艦の沈没事件が起き、韓国と北朝鮮の関係が緊張している。米国は韓国を支持して
北に外交圧力をかけると同時に、軍事的な圧力もかけている。その切り札が、米空母の黄海派遣である。
黄海は、朝鮮半島と中国・山東半島にはさまれた海だ。米韓両軍は仁川の南、
格列飛(ギョリョルビ)列島付近で合同軍事演習を予定している。すぐ西には山東半島が張り出し、
中国・北海艦隊の青島基地がある。
ここに米空母を配置すれば、平壌に向かって長やりを構えるようなものだ。
しかし中国の軍人にしてみれば、自分たちの中庭だと思っている黄海に長やりを持ち込まれて
黙っているわけにいかない。
普通、米空母は黄海には入らない。例外は1994年の空母キティホークだ。
当時、クリントン政権は北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にある核施設を爆撃するかどうか検討した。
カーター元大統領が訪朝し、この危機は回避されたが、このような緊迫した状況下で、
大統領は空母を黄海に入れた。当時、黄海上空を米艦載機と中国軍機が飛び、
一触即発の状態になった。
マレン米統合参謀本部議長は、6月初めに予定されていた米韓合同演習を月末に延期したのは、
北朝鮮に外交で譲歩する余地を与えたのだという。しかし北が譲歩しなければ、海上演習を行い
「集団防衛を強化する」と言っている。
6月14日、ジョージ・ワシントンは横須賀を出航した。沖縄沖で日米豪合同軍事演習を終えたら、
北の反応を見て黄海に向かう。
中国紙「環球時報」は戴旭という軍人の意見を載せた。「米韓の黄海合同演習を全力で阻止せよ」
という強硬論である。中国軍の本音だろう。国防長官の訪中拒否は中国軍の怒りの表明だ。
米中双方とも感情が高ぶっている。
ジョージ・ワシントンは黄海に入るか、直前で転進するか。米中朝のチキンゲームだ。
参院選モードの日本では関心が低いが、朝鮮半島は緊迫している。(専門編集委員)
毎日新聞 2010年6月24日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20100624ddm003070150000c.html
これどうなんのかね?
顔見せだけですぐに横須賀に戻るならいいけど、
滞在し続けたらイラク戦争のようになるんじゃね?