GDP16位の自称先進国も先進国としての責任を果たしなさい。
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日本超えを喜ばない中国 「大国」の責任どこまで
編集委員 吉田忠則
2010/8/21 18:50
中国が国内総生産(GDP)の日中逆転を素直に喜ぼうとしない。慢心を戒め、問題を直視しようとする姿勢は正しいが、「大国の責任」を求 められると猛反発する。見上げる国が米国しかないほど膨れあがった中国経済が、世界にどう映っているのかを自覚しているようには見えない。
「まだ途上国」を力説
「我々はGDP(の全体数字)だけに注目すべきではない。1人当たりでは(世界で)100位以下だ」。商務省の姚堅報道官は17日の記者会見でこう語った。日中逆転の感想を問われたときの当局の“模範解答”だ。

飲料水をプラスチックの容器に入れて運ぶ子ども。中国内陸部には経済成長の恩恵を受けていない住民が多数いる=ロイター
まだ4~6月の数字が逆転しただけだが、両国の成長率の差からみて通年でも日本を抜くのは確実とみられる。日本は40年以上守った「世界2位の経済大国」の座を明け渡す。
日本が旧西ドイツを抜いて2位になったのは1968年。経済企画庁(現内閣府)は翌年の経済白書の冒頭に「1人当たりの所得でみると人口の 多いこともあり、依然として20位前後」と書いた。日本と中国の反応は似ているようにみえるが、「100位以下」と「20位前後」の違いは大きい。
経済白書は続いて「国民生活の面でも物的な意味での貧困はなくなりつつある」と宣言した。ここで日本と中国の反応は逆向きになる。姚堅報道 官は記者会見で「中国はまだ大量の貧困人口がいる途上国」と強調。日本超えを喜ぶそぶりは一切見せず、逆に中国が後れている分野として国民の生活の質や環 境保全、科学技術、教育、文化、衛生を並べ立てた。
中国が「まだ途上国」と力説する理由はいくつかある。規模は大きくなったが、先進国と比べれば経済の基盤は不安定。温暖化ガスの削減も知的 財産の保護も為替相場の弾力化も海外の期待に応えることができない。といった事情から「中国は大国の責任を負うのを恐れている」と海外メディアが裏読みす ると、中国は強く反発した。
共産党の機関紙、人民日報系の「環球時報」は19日、「中国はわざと貧しさを吹聴していると一部の西側のメディアはみている」と指摘。「中国は謙虚にしても非難される」と嘆いてみせた。

「謙虚さ」の背後にあるもの
神経質な反応の予兆はあった。人民日報は7月26日の「無責任な“中国経済責任論”」という記事の中で、「中国の(金融)危機への際立つ対 応力と潜在成長力を目の当たりにした人の一部は心の平衡を失い、中国は無責任だとよりひどく批判するようになった」と主張。例えば中国の資源消費の多さを 問題視する声に対し「中国の1人当たりのエネルギー消費と二酸化炭素の排出量は低水準」と反論した。
極端な謙虚さの背後に強い自負と自己主張が隠されていることがこうして明らかになる。確かに海外の中国への批判の中には言いがかりに近いものがある。多くの国民が豊かさを実感しておらず、政府が日中逆転に浮かれれば反発を招きかねないという事情も理解すべきだろう。
一方で、外貨準備や新車販売台数、二酸化炭素の排出量など良くも悪くも中国が世界一になった数値はたくさんある。中国が「小さい数字」を挙げて反論しても、世界がその通りだと肯定するのは難しいほど中国は十分に大きくなった。
「小さな問題でも13億を掛ければ大問題に変わり、総数がいくら多くても13億で割れば小さな数になる」。温家宝首相は就任1年目の 2003年、米メディアのインタビューでこう語った。その後7年間で中国の影響力は決定的に高まった。日本超えはその成果であり、1つの到達点だ。「13 億を掛ければ大問題」の意味を自覚しないと、中国と世界との溝は一層深くなる。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819499E0E3E2E29E8DE0E3E2EAE0E2E3E2E2E2E2E2E2E2