
Anthony Giddens
「中国農村社会と革命」、これを書いた中国人に言わせれば、それは
「絶対主義の未経験」ということになるだろうか。
Anthony Giddens は、国家の展開を「伝統的国家」「絶対主義国家」「国民国家」の3つに分類した。
近代国民国家は、国家が社会の隅々まで管理が行き渡っている状態になる必要がある。しかし、中国の歴代王朝はの権力は県止まりで、その下の農村の内部にまで深く浸透することがなかったという。
中国の農村は宗族という親族集団の集合で、「家法族規」をもって緩やかな自治を行い、国家権力が深く浸透しておらず、農民や土地を隅々まで王朝が管理出来ているわけではなかった。その結果、徴税制度や徴兵制度の確立、個人が国家と向き合い、権利義務を規定する近代国民国家の形成に大いに苦労することになったという。
(もちろん、農村に王朝の権力が全く及ばなかったわけではない。しかし、農村秩序が族老や紳士などの有力者に負う所が大きく、絶対主義や国民国家のような管理とは、大きく性格が違う)
日本の場合は、現在の農村の原型が室町時代に出来上がり、戦国大名がその権力を深く農村内部にまで行き渡らせ始めた。そして江戸時代の幕藩権力は、農民個人個人や、農村の土地の隅々まできちっと管理出来ていた。
要するに江戸時代の幕藩体制は、「絶対主義」に似た傾向があったのかもしれない。
(絶対主義はAnthony Giddens の分類に従えば、国民国家への過程的段階で、国家権力が社会全般にきちっと浸透する段階とされている)。
また、中国には農村のまとまりが欠けており、いざ20世紀初頭に中華民国が近代化させようとした時、農村内部の利害矛盾や対立を収めることが出来ず、まとまりのある国民国家を作り出せなかったという。
要するに、中国が近代化出来なかったのは、中華思想は関係無いということだろう。