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温暖化問題は政治問題
国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が開かれたデンマークのコペンハーゲンで、会議の成果が乏しいことに対し抗議する人々〔AFPBB News〕
こうした結果はある程度予測されたものだ。
では、なぜ中国は国際的非難を承知でコペンハーゲンでの合意形成を「妨害」したのだろうか。
その疑問を解くキーワードは「科学的根拠」なる語の解釈だと思っている。
COP15文書の最大の目玉は、「地球温度の上昇を2度以内に抑えるべく温室効果ガス排出を削減することを念頭に・・・科学に基づく地球規模排出の大幅削減が必要である」
ことに合意したことだ、と言われる。
しかし、「政治」がすべてに優先する中国では「純粋科学」などそもそも存在しない。
科学者やNGO(非政府組織)が何と説明しようと、多くの中国人は「地球温暖化」問題自体を極めて「政治的なもの」と考えたに違いない。
北京市内の空気は不健康なレベル
科学と政治の関係を説明する一例として、北京の大気汚染状況を挙げよう。
12月23日付英フィナンシャル・タイムズによれば、北京市当局は12月15日の市内の空気を「素晴らしく良好」と発表したが、同日の在北京・米国大使館による独自測定では「不健康なレベル」との結果が出たという。
両者が異なる理由は簡単だ。中国側が大気中の荒い粒子の汚染物資だけを測定しているのに対し、米側は人体により有害な細かい粒子の汚染物質まで詳細に測定しているからである。
要するに、米側は科学的根拠に基づき有害物質を可能な限り詳細に調査しているのに対し、中国側では「北京の大気はきれいである」ことを発表するために測定対象・手法が「政治的」に決められるのだ。
中国の排出量大幅削減は不可能?
中国東部の浙江省温嶺で、霧に包まれる高層ビル街〔AFPBB News〕
中国の温室効果ガス排出については様々な研究があるが、今回は米コンサル大手のマッキンゼー社による報告書(=pdf)をご紹介したい。
同報告書によれば、2005年に二酸化炭素換算で6.8ギガトンだった中国の排出量は、このまま増え続ければ、2030年には14.5ギガトンにもなるという。
14.5ギガトンと言えば2005年の全世界の総排出量の約半分だが、これを2030年に7.8ギガトンまで抑えることも不可能ではないらしい。
ただし、そのためには、(1)石炭依存の大幅低下、(2)原子力発電の大幅拡大、(3)新技術の導入、(4)炭素吸収の拡大が絶対に必要なのだそうだ。
いずれも言うはやさしいが、直ちに実行できないことばかり。
科学的にはその通りかもしれないが、中国では政治的に受け入れ不能である。
中国側が先進国の主張する「科学的根拠ある排出量削減」なる概念そのものを頑強に拒否してきた理由はここにある。
先進国の政治的陰謀
中国の人口ボーナス(注:1国の人口構成で、子供と老人が少なく、生産年齢人口が多い状態。豊富な労働力で高度の経済成長が可能。多産多死社会から少産少子社会へ変わる過程で現れる。大辞泉より)は2015年にピークを迎えると言われる。
今後急速に高齢化する中国社会を考えれば、「科学」に基づいて中国経済を縮小させる選択肢などあり得ない。「温室効果ガス排出削減」という議論自体が中国に対する「政治的陰謀」にほかならないのである。
アヘン戦争以来170年、欧米が再び戦いを仕かけてきた。
中国の政治指導者なら誰でもこう考えるはずだ。中国外交部報道官が「こうした先進国の政治的企みは決して実現しない」と述べたのも、単なるレトリックではなく、彼らの本音なのだと思う。
そうであれば、COPが16になろうと20になろうと、中国がこうした先進国の「科学的根拠」を本気で受け入れることは決してないだろう。
仮に、将来中国側が政治判断によりこれを受け入れたとしても、それでゲームが終わるわけではない。
中国は、環境関連数値の隠蔽・改竄を含むあらゆる手段を用いてでも、先進国が仕かけてきた「地球温暖化問題」という新たな「政治闘争」を続けるに違いない。中国にとって、戦いはまだ始まったばかり。
温室効果ガス排出問題が早期に解決する可能性はゼロに近いだろう。