【朝鮮半島情勢】北「査察受け入れ」実は「1回案内」
保管している核燃料棒の韓国などへの売却は国際相場の5倍
北「査察受け入れ」実は「1回案内」 燃料棒は国際相場の5倍
リチャードソン・米ニューメキシコ州知事(AP)
【ソウル=加藤達也】北朝鮮を先に訪問したリチャードソン米ニューメキシコ州知事に、北朝鮮の金桂寛第1外務次官が
「寧辺(ニョンビョン)のウラン濃縮施設に、国際原子力機関(IAEA)の監視要員を受け入れる用意がある」と伝えたと
される発言は、核査察を容認したものではなく、監視要員を1回だけ「案内」するという趣旨だったことが26日、
米韓の北朝鮮交渉筋の話で分かった。
同意したとされる核燃料棒1万2千本の韓国への売却について北朝鮮側は、国際相場の5倍もの高値を突きつけたという。
リチャードソン知事は16日に訪朝し、金第1次官、李容浩次官ら外務省幹部、朝鮮人民軍の将官級幹部らと会談した。
その後の声明で同知事は、北朝鮮側と
(1)寧辺のウラン濃縮施設へのIAEA監視要員の受け入れ
(2)保管している核燃料棒の韓国などへの売却
(3)北朝鮮、韓国、米国の代表者による軍事委員会での協議と、南北軍事ホットラインの開設
-で合意したと発表。
北朝鮮は南北緊張緩和を求め、国際社会との融和姿勢を強めていると強調していた。
しかし、知事ら訪朝団が、米国に帰国後、米国務省に伝えた情報では、「IAEA監視要員の受け入れ」は、
「査察としてではなく、北朝鮮側が用意したスケジュールと内容に基づき、北朝鮮担当者の管理の下で、
ごく少数の係官を施設内に1回だけ案内する」というものだった。
また、核燃料棒1万2千本の売却価格について、北朝鮮側は国際相場のおよそ5倍に当たる額を提示したという。
国際相場は千数百万ドルとされる。
韓国側は、国際相場に若干上乗せした価格を念頭にしており、対北交渉筋は「交渉妥結は困難な数字だ」
としながらも、「検討していきたい」としている。
一方、軍事委員会での協議とホットラインの開設については、合意されていないという。
リチャードソン知事の声明が出されたのは、北朝鮮の延坪(ヨンピョン)島砲撃で軍事的緊張が極度に
高まった直後だった。このため、韓国などには、北朝鮮が緊張緩和を求め軟化姿勢をみせた、との観測も一部にあった。
だが、米韓当局は、同知事に対する北朝鮮側の発言内容と趣旨を詳細に分析した結果、
軍事、外交両面における強硬姿勢に変化はなく、当面外交交渉に入る環境にはないと判断しているという。