【コラム】眼鏡の主権奪還を
朴瑛錫・社会部次長
「眼鏡君」といったあだ名が通じるほど眼鏡を掛ける人が少数だったのは、わずか20年前のことだ。眼鏡人口の急増は統計が物語る。今年初めに大韓眼鏡士協
会と韓国ギャラップが行った調査で、韓国の成人のうち視力補正用眼鏡(コンタクトレンズ、遠視用眼鏡含む)の着用者は54.8%で、1987年の統計開始
時(24.1%)に比べ大幅に増え、ついに過半数を超えた。昨年ソウル地区の高校1年生のうち視力矯正(視力0.6以下)の対象者は75.9%を占め、米
国など先進国の5倍以上となった。韓国の青少年の深刻な視力低下ぶりを物語っている。このほか、おしゃれや健康(紫外線、ばい煙、黄砂の防止など)を理由
に眼鏡を掛ける人まで含めると、国民の大多数が眼鏡を使っているといえるほどだ。韓国の眼鏡市場は2兆4000億ウォン(約1800億円)規模と推定され
ている。
こうした堅調な需要にもかかわらず、韓国の眼鏡市場は危機に直面している。高級品市場は海外のブランドに、低価格品は中国製に食われ、挟み撃ちに 遭っているのだ。中国製の低価格品をイタリア製のブランド品だと偽って販売するなどコピー商品も横行している。零細な韓国の眼鏡業界には、韓国と欧州連合 (EU)の自由貿易協定(FTA)がもう一つの悪材料だ。ある大学の眼鏡光学科教授は「低価格の眼鏡フレーム市場は中国製が90%を占めており、今年7月 にEUとのFTAが発効すれば、高級品市場も欧州の大資本に握られる」と予測した。
国産の眼鏡の品質はそんなに低いのか。先月27-29日に大邱国際眼鏡展で数千万ドル(数十億円)相当の輸出商談があったことを考えれば、必ずし もそうではないようだ。眼鏡の製造・流通に携わる関係者は、消費者の不満が情報不足や価格に対する不信感から生まれると指摘する。「薬の成分を知らないま ま薬を買うようなものだ」「似たような商品なのに値段がまちまちで、利益はいったいいくら上がるのか」といった不信感のため、むしろ少し高くても、他人が 見て分かる外国製を買おうという人が多い。眼鏡は単純な商品ではなく、同じ商品でも価格差が出るのは当たり前だとの指摘もある。免許を持つ眼鏡士が検眼、 処方した場合にはトル「技術料」が掛かるとの論理だ。
問題は、韓国の眼鏡製造・販売業界がどれだけ開放に備えているかだ。眼鏡士協会と国会議員が眼鏡市場開放を阻止するために結託し、金品を授受した として、検察の捜査を受けているというから苦々しい。それに眼鏡業界は「ツケ払い根絶」がいまだに叫ばれるほど、流通構造が前近代的だ。
アジア人の近視の有病率は西欧やアフリカに比べはるかに高い。国内外の医学界は、教育熱や都市化、産業化がその原因だという研究結果をまとめてい る。その上、スマートフォン(多機能携帯電話端末)やコンピューターといった視力阻害環境を考えると、眼鏡産業はなおも有望だという逆説的な言い方が成立 する。
国民の大多数が眼鏡を掛け、その相当数が外国製という現象を「国際貿易による当然の結果」と考え、うなずいてもよいものか。あるメーカーの社長は 「眼鏡の品質とデザインを決定する上で、研究と投資以外に方法がない」と語った。眼鏡は今や高付加価値で技術集約的な商品であると同時に生活必需品だ。わ れわれの「心の窓」のすぐ前にある眼鏡が、優れた韓国の器用さで生み出されることを望んでいる。
朴瑛錫(パク・ヨンソク)社会部次長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版韓国人の目に入るのか?(´・ω・`)