【東日本大震災】部品・素材輸入の4分の1を日本に依存している韓国経済。震災による影響が懸念される中、4月の輸出額は前年同月比26.6%増の497億7,000万米ドル(約4兆円)を記録する一方、対日貿易赤字幅は前月比で48%減少した。背景には、韓国企業各社が部品購入先の多元化戦略を進めるなど、日本の震災が韓国企業に有利に作用したことがある。今後も、韓国政府が日本の部品・素材メーカーの工場誘致に乗り出すなど、対日貿易赤字幅の減少に力を入れる構えだ。
知識経済部関係者が「韓国の輸出拡大に伴う副産物」と話すほど、対日貿易赤字の拡大は韓国経済にとって深刻な問題だ。
韓国の日本からの部品・素材輸入依存度は2009年の25.3%から昨年は0.1%減の25.2%となった一方、赤字規模は201億米ドルから243億米ドルへと逆に拡大した。
しかし、韓国政府は日本の大震災を対日貿易赤字の解消に向けての好機ととらえている。4月の輸出額が過去最高額を記録した一方、生産ラインに支障が生じる前の3月に29億7,000万米ドルだった対日貿易赤字は、先月には約半分まで減少、前年同月比でも31%減った。
■際立った危機対応能力
電子新聞によると、韓国企業が震災の影響を最小化するために取った戦略は、◇部品購入先の多様化◇高い購買力◇迅速な物量の確保――の3点だ。
ハイニックス半導体とサムスン電子は、半導体用シリコンウエハーの取引先企業の工場が生産を中断したとき、すぐにLGシルトロンからの購買量を、それぞれ10%、5%増やした。サムスン電子関係者はNNAの取材に対し、「シリコンウエハーは5社以上から購入している」と話した。
加えて、高い購買力も被害を最小限にとどめた要因の一つだ。前出の日本のシリコンウエハーメーカーは、サムスンとハイニックスに対し米国など海外工場での生産製品を最優先で2社に供給すると約束したという。
業界関係者は「95年の阪神大震災当時は、韓国企業は無為無策で被害を受けるだけだった」としながら、「今後も部品購入先の多様化戦略を推進していく」と説明した。
また、韓国企業の購買チームの対応も迅速だったとの評価だ。
マイクロ・コントローラ(MCU)の購入先企業の工場が生産を中断した際、サムスン電子とLG電子は非常事態対応チームを立ち上げ、代替製品の確保に努めた。それに伴い、回路設計の変更に注力した結果、生産への支障を最小限にとどめることができたという。
さらに苦戦を強いられていた非メモリー市場でも、システム半導体の輸出額が11.5%増加するなど、売り上げが拡大した韓国企業も少なくない。システムLSI(大規模集積回路)市場で昨年10位圏に入ったサムスン電子は、今年5位圏に入ると予想されている。
■取引先の多様化で恩恵
部品メーカーも直接的な恩恵を受けている。特に、サムスン電機や大徳電子などのプリント基板(PCB)メーカーへの注文が大きく増えた。背景には、米アップルが震災後、半導体の購入で日本メーカーの比重を減らし、サムスン電子やハイニックスへの比重を高めたことがある。
さらに、PCB素材メーカーにも恩恵が及んでいる。これまで、PCBメーカーは半導体PCB向けの銅箔(どうはく)の80%を日本からの輸入に依存していたが、震災後は日進マテリアルズへの韓国企業からの注文が増えた。同社関係者はNNAの取材に対し、「日本のメーカーからもサンプルなどの問い合わせが相次いでおり、絶好のビジネスチャンス」だと説明した。
ほかにも、サムスン電機は積層セラミックコンデンサー(MLCC)、アモテックはチップバリスタ、アビコ電子はシグナルインダクター、ワイソルはソーフィルターで、それぞれ取引先の多様化によるシェア拡大が期待されている。
■日本企業誘致に積極的
韓国政府は、日本の部品・素材メーカーの誘致にも乗り出している。知識経済部関係者はこのほど「日本企業の韓国への投資額は前年同期比で70%以上増加した」としながら、「地震の影響によるものなのかどうか分析中」と話した。
同部はほかにも、技術力はあるものの売上高が100億ウォン(約7億5,000万円)以下の部品・素材メーカーの研究開発を支援する方針をこのほど、発表した。選定された企業には2~3年間で1億~3億ウォンの技術開発費が支給される。今年は50社だが、20年までに2,000社を対象とする考えだ。
日本の震災直後の時期を対日貿易赤字減少の分水嶺(れい)ととらえる韓国政府。部品・素材面で日本依存から脱却できるかどうか注目される。
http://news.nna.jp.edgesuite.net/free/news/20110512krw002A.html