先週は、フランスのカンヌで開催されたG20サミットに参加しました。雨に濡れ
風が強いカンヌで、朝から晩まで首脳同士の会議が続き、その合間にもなるべく
各国首脳との個別の会談を入れ、日本から同行いただいた記者の方々とも懇
談会を開いて会議の模様をお伝えしました。まさにフル回転した2日間でした。
会議では、ギリシャに端を発した欧州の債務危機の拡大をいかにして阻止する
か、という点に議論が集中しました。「欧州の問題は欧州の中でまずは解決を図
る」ということが基本ですが、今回の会合で確認されたことの一つは、一国の財
政問題が世界に波及し、国際的な経済・金融の不安定化をもたらしているという
点です。
我が国としては、私が最初の所信表明演説やその後の国会審議、記者会見な
どで何度も申し上げてきたことですが、6月に政府与党でまとめた「社会保障・税
一体改革」の成案に従って、社会保障の機能強化を行い、持続可能性の高い
制度を実現することが財政の健全化にも資する旨を説明しました。
また、各国の首脳に対しては、歴史的な円高に対して、投機的、無秩序な動き
があるのではないか、という懸念があり、日本経済への下振れリスクを顕在化さ
せないため、我が国として為替介入を行った旨の説明をし、これは従来からG2
0で確認してきている為替の「過度な変動」や「無秩序な動き」に該当するという
認識である旨も申し上げました。
いずれにしても、ギリシャの状況を見るにつけ、「国家の信用」を守ることの重
さを改めて身に染みて感じた会合でした。
成田への帰国便の機内で、西岡参議院議長が急逝されたとの報せに接しまし
た。突然のことでショックを受けました。
私が政治の世界に関わったそもそもの端緒は、学生時代、西岡先生が結成され
た「新自由クラブ」の選挙活動を手伝ったことでした。そういう意味では、先生が
おられなければ、私が政治を志すこともなかったかもしれません。大学の先輩で
もあり、たたずまいそのものが偉大な政治家であられました。その後ろ姿をずっ
と追いかけ続け、節目節目でご指導をいただいてきました。昨今も、東日本大震
災からの復興と政治のあり方に、並々ならぬ情熱をもっておられ、これからも大
所高所でご指導いただけると思っていた矢先だけに、無念でなりません。
三権の長として、最後まで命を懸けて職責を果たされた西岡議長の遺志に少
しでも応えるべく、私も、微力ながら、自らに課された使命を果たしていくことを御
霊前にお誓いしました。改めて、ご冥福をお祈りいたします。
今週末は、APEC首脳会議に出席し、アジア太平洋地域の将来像について各
国の首脳と語り合いたいと考えています。
平成23年11月7日 内閣総理大臣 野田佳彦